イスラムの歴史 (2015-3-7)

(2015-3-7)　イエフの謀反　part 5

（前回からの続き）

　一方、ユダの王アハズヤも自分の戦車を走らせ、逃げ始めた。イエフは自分の戦車隊を二つに分け、一つにヨラムの包囲を命じ、もう一つにアハズヤの追撃を命じた。「アハズヤを追え。彼も射殺しろ！」　アハズヤ追撃を命ぜられた部隊は、馬を駆り戦車を走らせ、アハズヤを追った。アハズヤはベト・ガン（下記の地図参照）の道を通って逃げた。

　イエフはひとまずアハズヤを部下に任せると、彼自身はヨラム包囲網に加わった。まずは北イスラエル王、ヨラムを確実に仕留めなければならない。イエフの戦車隊がヨラムの戦車を追う。あっという間にイエフの戦車隊はヨラムの戦車を追い詰めた。だが、ヨラムは戦車の中で、既に息絶えていた。

　イエフは従者ビドカルに命じて言った。「彼をイズレエル人ナボトの所有地の畑に投げ捨てろ。私がお前と共に馬に乗って彼の父アハブに従って行ったとき、主がこの託宣を授けられたことを思い起こせ。『私は昨日ナボトの血とその子らの血を確かに見た。』と主は言われた。また、『私はこの所有地であなたに報復する。』とも言われた。今、主の言葉どおり、彼をナボトの所有地に運んで投げ捨てろ。」

　（ナボトについては、(2012- 8- 4)　ナボトのぶどう畑　part 1参照）

　ビドカルは、命ぜられたとおりにヨラムの遺体をナボトの所有地であった畑に投げ捨てた。

　ユダの王アハズヤは、夢中で戦車を走らせ、ベド・ガンへ通ずる道を南へと逃げていた。彼の家臣たちも彼を警護しながら、南へ南へと逃げていく。イエフの追撃隊も、必死に追い続けた。アハズヤは今度は西に転じてメギドを目指した。なぜ、突然西に転じたかは分からない。そのまま南下すれば、北イスラエルの本拠地サマリアの勢力圏に入ることを警戒し、地中海沿いに南下するルートを選んだのだろうか。

　途中、イブレアム付近のグルの坂を上るところで、アハズヤの戦車の速度が落ちた。イエフの部隊はアハズヤの戦車までの距離が縮まると、一斉にその戦車めがけて矢を放った。そのうちの一本がアハズヤに突き刺さった。アハズヤの家臣たちは王をかばいながら必死に逃げ、メギドまでたどり着いたが、そこでアハズヤは死んだ。彼の家臣たちはイエフの追撃を振り切って落ち延び、その遺体をエルサレムまで運んだ。エルサレムに着くと、家臣たちはアハズヤの遺体をダビデの町に、先祖と共に葬った。

（次回に続く）

参考地図1-7-19：イエフの謀反

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