イスラムの歴史 (2015-2-7)

(2015-2-7)　イエフの謀反　part 4

（前回からの続き）

　一方のイズレエル側。様子を探るために送り出した騎兵が戻ってこない。見張りがそれを王ヨラムに伝えると、ヨラムはさらにもう一人の騎兵を派遣した。この騎兵がイエフの部隊に合流してイエフに会うと、イエフはやはり同じことを彼に言った。「私が道中、無事であったかどうか、お前に何の関係があるのか。まあ良い、お前は私の後ろに回れ。」　この騎兵も、イエフの部隊に合流した。

　二人目の騎兵も帰ってこないまま、軍勢が接近してくるのを認めた見張りは、王ヨラムに報告した。「騎兵は彼らのところにいったまま、帰ってきません。あの戦車の走らせ方は、ニムシの子イエフの走らせ方に似ています。なぜなら、あの戦車は狂ったように走っているからです。」

　その説明は王を納得させた。確かに、イエフは狂ったように戦車を走らせる。だが、様子を探りに行った騎兵が戻ってこないのは、いったいどうしたことなのか。ヨラムは部下に命じて戦車に馬をつなげさせた。王ヨラムが戦車で出ようとしているのを南ユダの王アハズヤが気づいた。「いかがなされましたか。」　アハズヤが尋ねると、ヨラムは「将軍イエフが戻ってくるようだ。彼を迎えに行く。」と答えた。それを聞いて、アハズヤも自分の戦車を用意させると、戦車を出発させ、ヨラムに従った。

　北イスラエルの王ヨラムと南ユダの王アハズヤは、やがて、ある場所でイエフの軍勢と遭遇した。その場所は、かつてヨラムの母イゼベルがイズレエル人ナボトからだまし取った、ナボトの所有地であった（(2012- 8- 4)　ナボトのぶどう畑　part 1以降参照）。

　ヨラムとアハズヤは、それぞれの戦車に乗ったままイエフを接見した。イエフは戦車から降りた。互いに、部下を背後に控えている。ヨラムはイエフに言った。「イエフ、道中無事だったか。」　すると、イエフは言った。「あなたの母イゼベルの姦淫とまじないが盛んに行われているのに、何が無事なものか。」　

　イエフの敵対的な態度、様子を探らせて帰ってこない騎兵・・・。ヨラムは直感して叫んだ。「アハズヤ、逃げろ！　裏切りだ！」　ヨラムは逃げようとした。だが、戦車の方向転換には時間がかかる。その隙をイエフは逃さなかった。イエフは弓を取って矢をつがえ、ヨラムに狙いを定めて放った。矢はヨラムの心臓を貫き、ヨラムは戦車の中で崩れ落ちた。イエフは自分の戦車に戻ると、部下に命じた。「追え。とどめを刺せ！」

（次回に続く）

参考地図1-7-19：イエフの謀反

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