イスラムの歴史 (2012-6-25)

(2012-6-25)　預言者エリヤ　もう一つの物語　part 3　エリヤ、エリシャを見出す

（前回からの続き）

　もっとも、この物語も事後予言であろう。(2011-11- 5)　顕現でも書いたが、イスラエルではなぜ国が滅びたかという原因を、神への信仰を棄てたための懲罰として捉えた。いずれは起こるダマスコの王ハザエルによる北イスラエル侵攻も、北イスラエル国民が異教に走ったことへのペナルティとして位置づけたからこそ、このような物語が生まれたのだと思う。

　なお、あくまでもその文脈の物語の中での話ではあるが、神が先に書いたように命じたにもかかわらず、預言者エリヤがハザエルに油を注ぐことは無かった。後日、エリヤの弟子であるエリシャが泣きながらハザエルに言うことになる。「私はあなたがイスラエルの人々に災いをもたらすことを知っている。・・・主はあなたがアラムの王になることを私に示された。」と。

　さて、エリヤはその洞窟から出ると再び北をめざし、北イスラエル国内に戻った。そうしてヨルダン川付近の町アベル・メホラの地方に入り歩いていると、そこにはくびきにつながれた１２組の牛を歩かせ、畑を耕しているエリシャがいた。エリシャは１２番目の組の牛たちと共にいた。エリシャは預言者エリヤの存在に気づいた。黙々とエリシャが畑仕事を続けていると、エリヤはエリシャの近くを通り過ぎた。　－　そして、通り過ぎるときに、自分が着ていた外とうを脱いで、エリシャに投げかけた。

　当初、外とうを自分に向かって投げられたとき、エリシャは茫然としてその真意を測りかねたが、やがて気が付いた。エリヤは、自分を選び、彼に従うように言っているのだと。預言者に選ばれたエリヤは体が震えるのを止めることができなかった。彼は走ってエリヤに追いつくと、エリヤに言った。「私の父、私の母に別れの接吻をさせてください。それからあなたに従います。」　エリヤは答えて言った。「行ってきなさい。私があなたに何をしたというのか。」

　エリシャはエリヤを残して自分の家に帰ると、一くびきの牛を取って屠り、牛の装具を燃やしてその肉を煮た。そうしてできあがった肉料理を人々に振る舞って食べさせた。それから彼は立ってエリヤのところに戻り、以後はエリヤに仕えた。

（列王記上第１９章より）

参考地図1-7-6：預言者エリヤ　もう一つの物語

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