イスラムの歴史 (2011-4-23)

(2011-4-23)　ダビデ、ヨルダン川を渡る　part 2

（前回からの続き）

　シムイのほかに、サウル王家の従者であったツィバも１５人の息子と２０人の召使いを連れてヨルダン川を東へ渡り、ダビデのもとに参じた（ツィバは先王サウルの息子メフィボシェトの従者で、ダビデがエルサレムから脱出する際に援助物資を渡した男。(2011- 2-10)　ダビデとフシャイ／ダビデとツィバ参照）。彼が来たのは、王の目にかなうよう、ダビデたちがヨルダン川を渡るときに王家の人々を手助けするためである。

　一方で、サウルの孫メフィボシェトも王を迎えるために、家来の者に助けられてくだってきていた。彼はダビデがエルサレムを去った日から、王が都に戻るまでは足も洗わずひげも剃らず、衣服も洗わないと誓ってそれを実行していた。彼はぼろぼろの姿でダビデの前に現れた。ダビデは尋ねた。

　「メフィボシェトよ、なぜお前は私に従って来なかったのか。」

　先にツィバから聞いたところでは、メフィボシェトはアブサロムが反乱した際、ダビデではなくアブサロムの側についたとされ、それを聞いたダビデはメフィボシェトに属するものは全てツィバのものとする、と裁定していた（前出、(2011- 2-10)　ダビデとフシャイ／ダビデとツィバ参照）。

　するとメフィボシェトは言った。

　「主君、王よ、しもべに欺かれたのです。私は足が不自由ですから、ロバに鞍を置き、それに乗って王様に従っていこうと考えておりました。ところがあのしもべが主君、王に私のことを中傷したのです。しかし主君、王は神の御使いのような方です。王の目に良いと映ることをなさってください。父の家の者は皆、主君、王にとって死に値する者ばかりですのに、このしもべを王の食卓に並ばせてくださったのです。この上、どのような権利があって王に助けを求めることができましょうか。」

　メフィボシェトの主張では、ツィバにだまされたということであった。メフィボシェトはダビデの親友、ヨナタンの息子である（(2010-11-29)　ダビデとメフィボシェト参照）。ツィバの言うことを信じてメフィボシェトを罰する、あるいはメフィボシェトの言うことを信じてツィバを罰する、そのいずれもダビデはしなかった。ダビデは言った。

　「もう自分のことを話す必要はない。私は命ずる。お前とツィバで地所を分け合いなさい。」

　するとメフィボシェトは王に言った。

　「主君、王が無事に王宮にお帰りになったのですから、すべてツィバのものとなっても構いません。」

　結局この件がどう決着したのか、すなわちメフィボシェトが自分の地所を放棄したのか、それとも二人で分け合ったのかは聖書には記されていない。

（次回に続く）

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