イスラムの歴史 (2011-3-21)

(2011-3-21)　二人の急使　part 1

　戦いが済んで、ツァドクの子アヒアマツは、ヨアブに言った。

　「走っていって、主が王を敵の手から救ってくださったという良い知らせを王に伝えます。」

（アヒアマツは、ダビデがエルサレムの情勢を知らせるために潜伏させていた男。(2011- 2-28)　アヒトフェルとフシャイ　part 3などを参照）

　だが、ヨアブはアヒアマツに言った。

　「今日、お前が知らせるのは良くない。日を改めて報告するがよい。今日は知らせないでおこう。王の息子が死んだのだ。」

　そう言って、ヨアブはアヒアマツではなく、クシュ人を呼んで命じて言った。

　「言って、お前が見たとおりに王に報告せよ。」

　クシュ人はヨアブに一礼して走り去った。

　だが、若いアヒアマツは、王に戦勝の知らせをとどけたくて、はやる気持ちを抑えきれなかった。アヒアマツは再びヨアブに言った。

　「どんなことになろうとも、私もあのクシュ人を追って走りたいのです。」

　ヨアブは言った。「子よ、お前はどうしてそんなに走りたいのだ。お前が行って知らせるほどの良い知らせではない。」

　だが、ヨアブがそう言ってもアヒアマツの気持ちは変わらなかった。どのようなことになろうとも行きたい、という若者の熱意に折れ、ヨアブはついに「行くがよい。」と答えた。アヒアマツは低地の道を選択して走り、結果として先に出発したクシュ人に先んじてダビデのいるマハナイムに到着した。

（次回に続く）