イスラムの歴史 (2010-9-23)

(2010-9-23)　ダビデ、サウルの死を知る　part 1

　ダビデがアマレク人を討って自身の妻や兵たちの妻子、住民などを奪還してツィクラグに戻ってから３日目。ギルボア山から、例のアマレク人の兵士がツィクラグにやってきた。彼の衣服は裂け、土をかぶっていた。彼はツィクラグに着くとダビデを探し、やがてダビデの前に案内された。

　ダビデは尋ねた。「どこから来たのだ。」

　「イスラエルの陣営から逃れてきました。」と彼は答えた。

　「状況はどうか。話してくれ。」とダビデは彼に言った。

　彼は答えて言った。「兵士は戦場から逃げ去り、多くの兵士が倒れて死にました。サウル王と、王子であるヨナタンも亡くなりました。」

　ダビデの心はざわついた。ダビデは尋ねた。「どうやって、サウル王とヨナタンが死んだことを知ったのだ？」

　その兵士は答えた。「私はたまたま、ギルボア山におりました。そのとき、サウル王は槍にもたれかかっておりましたが、ペリシテ軍の戦車と騎兵が王に迫っていました。王は振り返って私をご覧になり、お呼びになりました。私が答えると王は『お前は何者だ』とお尋ねになり、『アマレクの者です』とお答えすると、『そばに来て、とどめを刺してくれ。けいれんが起こったが死にきれない』と言われました。そこでおそばに行って、とどめを刺しました。倒れてしまわれ、もはや生き延びることはできまいと思ったからです。頭にかぶっていた王冠と腕につけておられた腕輪を取って、ご主人様に持って参りました。これでございます。」

　ダビデはその兵士から王冠と腕輪を受け取って見た。サウルの物に間違いない。ダビデは自分の衣をつかんで引き裂いた。共にいた者は皆、それにならった。彼らは剣に倒れたサウルとその子ヨナタン、そしてイスラエルの民を悼んで泣き、夕方まで断食した。

　日が沈むと、ダビデは先ほどの、報せをもたらした兵士を呼んで、静かに尋ねた。「お前はどこの出身か。」

　「私は寄留のアマレク人の子です。」と彼は答えた。

　震える声でダビデは彼に言った。「主が油を注がれた方を、恐れもせず手にかけ、殺害することは何事か。」

　ダビデは傍らの従者の一人を呼び、きっぱりと命じて言った。「この者を殺せ。」

　驚くアマレク人の兵士に、ダビデの従者が棒を打ち下ろした。叫び声があがったが、ダビデの従者はかまわずに棒を振り下ろし続け、やがてアマレク人の兵士の声は途絶えた。

　ダビデは静かに言った。「お前の流した血は、お前の頭に返る。なぜならお前自身の口が、『主が油を注がれた方を私が殺した』と証言したのだから。」

（次回に続く）

参考地図1-6-13：サウル王の最期～ダビデ、サウルの死を知る

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