イスラムの歴史 (2010-8-26)

(2010-8-26)　ダビデ、ペリシテ軍から離脱する　part 2

（前回からの続き）

　イスラエルに対する戦いに参加しなくても済むようになるため、ダビデは内心では喜んでいたものの、それを面に出すわけにもいかない。ダビデはアキシュに言った。

　「私が何をしたとおっしゃるのですか。あなたに仕えた日から今日までに、どのような間違いがしもべにあって、我が主君、王の敵と戦うために出てはならないのでしょうか。」

　アキシュは言った。

　「私にはわかっている。お前は良い人間だ。だが、ペリシテの武将たちは、お前は一緒に来てはならないと言うのだ。だからお前は、一緒に来た部下も連れて、明日の朝早く起きて日が昇ったら出発しなさい。」

　ダビデはアキシュに別れを告げた。

　翌朝、ダビデは部下を引き連れて、本拠地ツィクラグに向けて出発した。一方、ペリシテ軍はイズレエル平野に兵を進めた。

　何日かの行程を経て、ダビデはツィクラグに戻った。ところが、戻ってみると、町の様子がおかしい。町は焼け落ち、人の気配が無い。皆、嫌な予感がした。

　「一体、これはどうしたことだ。」

　茫然とダビデはつぶやいた。ダビデの部下は一斉に散り、町の中を回った。人がいない。ダビデの部下たちは町中をめぐり、やっと老人を見つけた。

　唯一の生存者はダビデの前に連れてこられた。

　「何があったのだ。」

　ダビデが尋ねると、老人は言った。

　「アマレク人が攻めてきて、町に火をかけました。彼らは女、少年から年寄りに至るまで皆、さらっていったのです。」

（次回に続く）