イスラムの歴史 (2010-8-23)

(2010-8-23)　ダビデ、ペリシテ軍から離脱する　part 1

　ペリシテ人は、その軍をアフェクに集結させた。

　ペリシテの武将たちはおのおの百人隊、千人隊を率いて進み、ダビデとその兵はアキシュと共にしんがりを進んだ。ある時、ペリシテの武将たちは、自分たちの軍勢の中にヘブライ人の集団がいることに気付いた。武将たちはアキシュを呼んで尋ねた。

　「あのヘブライ人は一体、何者だ。」

　アキシュは答えた。

　「イスラエルの王サウルのしもべであったダビデだ。彼はこの一、二年、私のもとにいるが、身を寄せてきたときから今日まで、私には彼に何の欠点も見いだせない。」

　だが、ペリシテの武将たちは苛立ってアキシュに言った。

　「あの男は帰らせるべきだ。彼をもとの場所に戻せ。我々と共に戦いに向かわせるな。」

　なぜ？　という表情を浮かべるアキシュに皆は続けた。

　「考えてもみろ。彼は、我々の首を差し出せば、大手柄を立てて元の主人に再び迎え入れられるではないか。『サウルは千を討ち、ダビデは万を討った』とうたわれたあのダビデだぞ。」

　ダビデはそんなことはしない、とアキシュは反論を試みたが、ペリシテの武将たちはまったく耳を貸さなかった。

　しかたなく、アキシュは自分の部隊のところに戻ると、ダビデを呼んで言った。

　「お前はまっすぐな人間だし、私と共に戦いに参加するのを私は喜んでいる。私のもとに来たときから今日まで、お前に何ら悪意はみられなかった。だが、武将たちはお前を好まない。今は平和に帰ってほしい。ペリシテの武将たちが好まないことをしてはならない。」

（次回に続く）