イスラムの歴史 (2010-8-12)

(2010-8-12)　ダビデ、ナバルに物資を乞う　part 4

（前回からの続き）

　アビガイルは夫ナバルのもとに帰ったが、ナバルは家で、まるで王の宴会でもあるかのような盛大な宴会を開いている最中だった。ナバルがしたたかに酔っていたので、アビガイルはその日は夫には何も話さなかった。翌朝、宴の酔いも醒めたナバルに、アビガイルはダビデとのいきさつを話した。アビガイルは自分の妻が勝手に自分の財産をダビデに分け与えたことを知ると、衝撃を受けた。もともと吝嗇家(りんしょくか)でもあったナバルにとって、妻が自分の財産を他人に断りもなく与えたことが、二重の意味で衝撃だった。ナバルはもともと暴飲暴食で健康を害していたが、自分の財産を無駄に失ったことと、妻に裏切られたことを苦にしてナバルは心臓を患い、１０日ほどして没した。

　やがてダビデは、ナバルが死んだことを伝え聞いた。ダビデは言った。

　「主はたたえられよ。主は、ナバルが加えた侮辱に裁きを下し、しもべに悪を行わせず、かえってナバルの悪をナバルの頭に返された。」

　ダビデはアビガイルに人を遣わせ、彼女を妻にしたいと申し入れた。ダビデの使者が来てその旨を伝えると、アビガイルは言った。「私は、ご主人様のしもべたちの足を洗うはしためになります。」

　そうしてアビガイルはすぐに立ち上がり、急いでロバに乗り、侍女５人を連れてダビデの使者の後に従った。ダビデはアビガイルを自分の妻として迎え入れた。ダビデにはアヒノアムというイズレエル出身の妻が既にいたので、アビガイルはダビデの２人目の妻となった。

　一方、かつてダビデの妻だったサウル王の娘ミカル（(2010- 4-29)　サウル、ダビデを妬む　part 3及び(2010- 5-10)　ダビデ、逃走する　part 3参照）は、ダビデがサウル王のもとを去ってから、独りで過ごす日々が続いていた。ダビデがミカルのもとを去って久しい。ミカルを不憫に思ったサウルは、ミカルをパルティという者に与えた。

（サムエル記上第２５章より）

参考地図1-6-10：ダビデ、ナバルに物資を乞う

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