イスラムの歴史 (2010-5-10)

(2010-5-10)　ダビデ、逃走する　part 3

（前回からの続き）

　サウルの使者たちが王の元に戻り、事の次第を報告すると、サウルは激怒して娘ミカルを呼び寄せた。ミカルが現れると、サウルは娘に向かって言った。

　「一体、何の真似だ。このようなことをして私を欺いたのはなぜだ。なぜお前は私の敵を逃がし、避難させたのか。」

　ミカルは嘘をついて言った。

　「あの人は、『私を逃がせ。さもないとお前を殺す。』と私のことを脅したのです。」

　一方、逃げて難を避けたダビデは、ラマにいる預言者サムエルのところへ行き、サウルの仕打ちを報告した。サムエルとダビデはラマのナヨトというところに移動し、そこに留まった。

　ラマのナヨトにサムエルとダビデがいるとサウルに告げる者があり、さっそくサウルはダビデを捕らえるために使者を派遣した。そうしてナヨトに到着した彼らが見たのは、預言状態にある預言者の一団だった。そうしてその先頭に預言者サムエルがいた。

　だが、それを見ていたサウルの使者たちにも神の霊が降り、預言する状態になった。使者たちはダビデを捕らえることを諦め、帰ってサウルに報告した。サウルは再び別の使者たちを送ったが、彼らもサムエルの前に出ると預言する状態になった。それでもサウルは諦めず、三度目の使者を送ったが、彼らもまた預言する状態になり、ダビデを捕らえることはできなかった。

　ついにしびれを切らしたサウルは、自らラマに向かい、さらにはラマのナヨトを目指して歩いたが、サウルにも神の霊が降り、預言する状態になった。その状態のままサウルは歩き続け、ついには着物を脱ぎ捨てて一昼夜、サムエルの前に裸のままで倒れていた。このため、人々は「サウルもまた預言者の仲間か」と言った。（このフレーズは、(2009-12-28)　サムエル、サウルに油を注ぐ　part 5と同じであるため、もしかしたら話の起源は一緒かもしれない）。

（サムエル記上第１９章より）

　余談であるが、この話に限らず、旧約聖書中における「預言する状態」というのは、もしかしたら幻覚症状をもたらす何か（例えばアヘンなど）によってつくり出されたものだったのかもしれない。むろん確証はなく、まったくの雑感である。

参考地図1-6-7：ダビデの逃走

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