イスラムの歴史 (2010-6-24)

(2010-6-24)　サウル、ダビデを追う　part 3

（前回からの続き）

　「きっと、次にイスラエル王になるのはあなただろう。」

　ヨナタンはそう言って、ダビデを見た。ダビデは否定したが、ヨナタンはそう思い始めていた。預言者サムエルがダビデに聖油を注いだことも聞いている。それにダビデは機知に富み、統率力・決断力ともに申し分なかった。人望もある。戦も上手で、王になる資質を十分に持っていた。

　「私が王になるとしても、あなたの次ぐらいであろう。」とも、ヨナタンは言った。ダビデはヨナタンこそ次の王になるべき人だと言ったが、ヨナタンはそう思っていないようだった。

　二人はその後もしばらく雑談しながら情報を交換した。

　「さて、そろそろ帰る。くれぐれも、父上に殺されないようにな。いつかきっと、戻ってくる機会はあるはずだから。」

　そう言ってヨナタンは自分の館へと帰っていき、それをダビデは見送った。だがこれが結局、二人の最後の別れとなるのである。

　さて同じ頃、ジフの人々はギブアにいた王サウルのところに上っていき、サウルに報告した。

　「ダビデは我々のところに隠れており、砂漠の南方、ハキラの丘にあるホレシャの要害にいます。王が下っていくことをお望みなら、今おいでください。王の手に彼を引き渡すのは我々の仕事です。」

　サウルは答えて言った。

　「主の祝福があるように。あなたたちは私のことを思ってくれた。戻って、更に確かめてくれ。ダビデが足をとどめている場所と、誰がそこで彼を見たかをはっきり調べてくれ。彼は非常に賢い。彼が隠れた場所をことごとく調べ上げて、確かな情報を持ってきてくれれば、あなたたちと共に出て行こう。この地にいるのであれば、ユダの全氏族の中から彼を捜し出す。」

　人々はサウルに先立ってジフに戻り、ダビデの消息を求めて捜し回った。

（次回に続く）

参考地図1-6-9：サウル、ダビデを追う

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