イスラムの歴史 (2010-6-17)

(2010-6-17)　サウル、ダビデを追う　part 1

　ほどなくして、ペリシテ人がケイラを襲い、麦打ち場を略奪しているという知らせがあった。ダビデは祭司アビアタルを呼び、神の託宣を求めた。

　「私は、行ってこのペリシテ人を討つべきでしょうか。」

　託宣の結果は、「行け。ペリシテ人を討って、ケイラを救え。」というものであった。

　ダビデは部下たちに託宣の結果を伝えた。ケイラにいるペリシテ人を攻撃するというダビデの方針を聞いた兵は、恐れて言った。

　「我々はここ、ユダにいてさえおびえながら過ごしているというのに、ケイラまで行ってペリシテ人と相対したら、一体どうなるのでしょうか。」

　部下の不安が大きいことを見て取ったダビデは、もう一度託宣を求めた。だが、結果は同じだった。

　「立て、ケイラに下って行け。ペリシテ人をあなたの手に渡す。」

　二度も託宣の結果が同じだったことに意を強くしたダビデは、攻撃を決断した。ダビデは兵を率いてケイラに移動し、ペリシテ人の軍と戦ってその家畜を奪い、彼らに大打撃を与え、ケイラの住民を救った。

　ほどなくして、ダビデがケイラの町のペリシテ人を攻撃してそこに滞在しているとの情報が、王サウルにもたらされた。サウルは狂喜した。

　「神がダビデを私の手に渡されたのだ。奴は扉のある町に入り、自分で扉を閉め、自分を閉じ込めているようなものだ。」

　サウルはさっそく、集められるだけの兵を集めてケイラに向けて出発した。ダビデがケイラに滞在しているうちに、完全に包囲して捕らえるつもりである。

（次回に続く）