イスラムの歴史 (2010-4-12)

(2010-4-12)　ゴリアテ　part 8

（前回からの続き）

　（早く投げろ）

　そう思ってゴリアテは距離を詰めていくが、ダビデは冷静そのもので石投げひもを振り回し続けている。距離が縮まることは、石が当たる確率が増えることでもあった。だが距離を詰めないとダビデを殺せない。

　結局、相手は少年なのだということでゴリアテは自分を納得させた。ダビデが放てるのは一発である。それさえかわせば良いのだ。そうしてゴリアテはひたすらダビデめがけて走り続けた。

　（くそっ、いつまで投げずに待っているのだ）

　距離を詰めるために走り続けていたゴリアテがそう思った瞬間。

　ダビデは至近距離から、遠心力を充分に効かせて石を一直線にゴリアテの額めがけて放った。それは、もう少しすればゴリアテの槍がダビデに届く距離であったが、ダビデの側からすればゴリアテが投石に反応しきれないくらいの至近距離でもあった。

　石はあやまたずにゴリアテの眉間にめり込み、脳しんとうを起こしたゴリアテは真っ正面から、うつぶせに地面に音を立てて倒れた。

　ダビデは剣すら持っていなかった。彼は素早くゴリアテに走り寄ると、ゴリアテが身につけていた剣を取り、さやから引き抜いてゴリアテにとどめを刺した。そうしてゴリアテの首を切り落とした。

（次回に続く）