イスラムの歴史 (2010-1-14)

(2010-1-14)　サウル、王になる　～　もう１つの物語

　さて、今まで書いた物語とは別の、もう１つのサウルが王になる物語がある。例によって聖書中では唐突に埋め込まれているが、参考までにそれも紹介しておこう。

　サムエルはミツパに民を呼び集めた。そうしてイスラエルの人々に告げた。

　「イスラエルの神、主は仰せになる。『イスラエルをエジプトから導き上ったのは私だ。私があなたたちをエジプトの手から救い出し、あなたたちを圧迫するすべての王国からも救い出した』と。しかし、あなたたちは今日、あらゆる災難や苦難からあなたたちを救われたあなたたちの神を退け、『我らの上に王を立ててください』と主に願っている。よろしい、部族ごと、氏族ごとに主の御前に出なさい。」

　サムエルはそうしてイスラエルの全部族の代表者を呼び寄せた。

　サムエルはくじを引いた。すると、ベニヤミン族が選ばれた。そこで今度はベニヤミン族の全氏族の代表者を集めてくじを引くと、マトリの氏族が選ばれ、さらにくじを引くとキシュの息子サウルが選ばれた。

　人々はサウルを探したが、見つからなかった。そこで人々は神に伺いを立てた。「その人はここに来ているのですか。」

　すると神は答えた。「見よ、彼は荷物の間に隠れている。」

　人々は走っていき、そこから彼を連れてきた。サウルが民の真ん中に立つと、民の誰よりも頭１つ分、背が高かった。

　サムエルは民に言った。「見るがいい、主が選ばれたこの人を。民のうちで彼に及ぶ者はいない。」

　民は全員、喜び叫んで言った。「王様万歳！」

　サムエルは民に王の権能について話し、それを書に記して神前に納めた。それからサムエルは民をそれぞれの家に帰した。

　心動かされた勇士たちはサウルに従ったが、ならず者たちは「こんな男に我々が救えるか」と言い合って彼を侮り、贈り物をサウルに持っていかなかった。だが、サウルは何も言わなかった。

（サムエル記上第１０章第１７節～第２７節）

参考地図1-6-2：サムエルとサウル

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