イスラムの歴史 (2010-1-4)

(2010-1-4)　サウル、王になる　part 1

　物語の方に戻ろう。

　サウルが家に戻ってから少しして、アンモン人のナハシュがギレアド地方に攻め込んできて、ヤベシュを包囲した。ヤベシュの住民は震え上がり、降伏の使者をナハシュに送っってこう言わせた。

　「我々と契約を結んでください。我々はあなたに仕えます。」

　するとアンモン人のナハシュは答えて言った。

　「よかろう。お前たちと契約を結ぼう。ただし、お前たち全員の右の目をえぐり出すのが条件だ。それをもって全イスラエルを侮辱しよう。」

　使者が持ち帰った答えを受けて、長老たちは困り果てた。町の住人全員の右目をつぶすなど、できるはずもない。かといって、戦って勝ち目はない。

　困り抜いて、長老たちはもう一度使者を送ってこう言わせた。

　「それでは、７日間の猶予をください。イスラエルの全土に使者を立てます。救ってくれる者がいなければ、我々はあなたのもとへ出て行きます。」

　その当時、イスラエルに王はなく、それぞれの部族が個々に動いていた。そういうイスラエルをナハシュはまったく恐れてはおらず、ヤベシュの長老たちの申し出を受け入れた。そうして使者が帰っていくと、ナハシュは部下たちに言った。

　「救援を求めたところで、我々に敵する者などいるはずもあるまい。」

　そうして彼らはあざ笑った。

　一方、ヤベシュの長老たちは、救援を求める使者をイスラエルの各地に送った。

（次回に続く）