イスラムの歴史 (2009-10-26)

(2009-10-26)　ヨシュア記・士師記解説編　part 6

（前回からの続き）

　さて。ここまででそろっている情報を整理してみよう。

カナンの地に乱立していた都市国家群は、紀元前１２００年頃になると何者かによって破壊されている。
　
これらの都市国家群が破壊された前後の時期から、人口規模５０～数百人規模の居住地が山地に出現する。
　
これらの居住地は、都市国家の影響を避けるように人里離れた場所に築かれている。
　
これらの居住地の文化は、それ以前のカナン地方の文化とはある程度の連続性はあるものの、かなり異なる。
　
これらの居住地の文化は、そのままイスラエル王国時代の初期まで連続している。

　これらの情報から、何が読み取れるだろうか。

　１つの可能性としては、聖書に書かれていることが本当で、モーセに率いられて脱出してきたイスラエルの民がこれらの都市国家群を破壊した、というものである。だが、本当にそうであるならば、これらの都市を攻略した後でそこにイスラエルの民が住み続けるか、あるいはそれに代わる都市が無ければならない。あえて都市国家の影響を避けるように住む必要はない。

　それにそもそも、私の考えでは(2008- 3-10)　解説編：６０万人もの人間が脱出したのか？に書いたとおり、エジプトを脱出したイスラエル人のグループの人数は少ないものと考えている。仮にそうであるとすれば、少なくとも紀元前１２００年頃にカナン地方の都市国家を壊滅させるような軍事力を持っていたとは考えられない。先に引用した記事でも書いたことだが、仮に聖書中に書かれていることが本当で、大勢のイスラエルの民がエジプトを脱出してこの地方の都市国家群を壊滅させたのだとすれば、それはもう単なる奴隷の脱出ではなく軍事行動である。

（次回に続く）

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