イスラムの歴史 (2009-4-13)

(2009-4-13)　士師エフタ　part 1

　ギレアド地方に住むギレアドという男に、エフタという子がいた。エフタは遊女の子で、正妻の子ではなかった。やがてギレアドの正妻も男の子たちを産んだ。

　時が流れて子どもたちが大きくなると、正妻の子どもたちはエフタに言った。

　「お前はよその女から生まれた子だから、俺たちの家からお前に相続させるものなど無い。」

　そう言ってエフタを家から追い出した。

　途方に暮れたエフタは兄弟たちから逃れ、トブというところに落ち着いた。屈折した感情からエフタはやさぐれ、いつしかエフタの元にはならず者が集まるようになった。

　エフタは腕力の強い男であった。ならず者と群れるエフタに、人々は眉をひそめた。エフタの生活は困窮を極めた。エフタが居を定めたトブという場所はカナン地方から見れば東方にあり、異民族の土地と接していた。彼は盗賊まがいのことをしては生計をたて、やがて妻をめとり、苦しい生活ながらも１人の娘を授かった。

　それから更に時間が流れたある日のこと。アンモン人がギレアドにいるイスラエルの民に戦争を仕掛けてきた。イスラエル側は、まったく勝つ自信がなかった。本格的な戦争突入前夜、イスラエルの長老たちは集まって対応を協議したが、良案が思い浮かばなかった。

　そのうち誰かがエフタのことを思い出して言った。「どうだ、エフタを頼ってみては。彼なら戦は上手かもしれない。」

（次回に続く）