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(2008-4-16) 金の子牛 part 3 （前回からの続き） 律法を記した石板は、神によって記された貴重なものであった。２枚の石板から成っていた。それらを携え、モーセとヨシュアが下山していくと、民の集団に近づくにつれてどよめきが聞こえた。ヨシュアがモーセに言った。 「宿営で、戦いの声がします。」 若い戦士ヨシュアらしいコメントであったが、モーセはそれを否定した。「これは勝利の叫び声でも、敗戦の叫び声でもない。私に聞こえるのは、歌を歌う声だ。」 そうしてモーセとヨシュアが現場に到着すると、民が金の子牛を崇めて踊っている。怒りのあまり、モーセの頭の中は真っ白になった。こんなことをしていては、神に滅ぼされる − いったい、私は何のために民をここまで連れてきたのか − 様々な激情に駆られ、あろうことか、モーセは律法を記した貴重な２枚の石板を、力一杯地面に投げつけて、その場でたたき割ってしまった。 「モーセ様だ」 石板をたたき割る音に一部の民が気づき、それが伝わってやがて徐々に静かになっていったが、民が完全に静かになるのを待たずにモーセはつかつかと金の子牛に近づくと、それを取り上げ、祭のために用意されていた近くの炎の中にたたき込み、熱で柔らかくなったその像を棒きれで滅多打ちにした。 「アロン！！」と叫んでモーセはアロンを呼び、問いつめた。「一体、なんのためにあなたは民にこのような罪を犯させたのか」 偶像崇拝は厳禁と言われたばかりではないか。 モーセの剣幕に、アロンもたじたじとなって弁明した。「どうか、怒らずに聞いてください。あなたが山を登っていってから、どうなったかわからなくなったため、民に、神を造るように懇願されたのです。」 アロンがどう弁明しようと、神に対して裏切りを働いた事実は消えない。「あなたは、いかなる像も造ってはならない。私は、妬む神である。」「私の怒りは燃え上がっている。私は彼らを滅ぼし尽くす。」という神の言葉がモーセの頭の中を駆けめぐった。そうしてそれが、モーセを理不尽な行動へと駆り立てるのである。 （次回に続く）
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