イスラムの歴史 (2008-1-23)

(2008-1-23)　モーセ、エジプトに戻る

　神は続けて言った。「さぁ、エジプトに帰るがよい。お前の命を狙っている者は、皆、死んでしまった。」　それで、モーセはしゅうとにいとまを告げ、妻子をろばに乗せてエジプトを目指した。

　なおも神はモーセに告げた。「エジプトに着いたら、私がお前に授けた奇跡を行うがよい。しかし、ファラオの心はかたくなになるであろう。そこでファラオにこう言うのだ。『主はこう言われた。イスラエルは私の子だ。私の子を去らせて私に仕えさせよと命じたのに、お前はそれを断った。それゆえ私はお前の子、お前の長男を殺すであろう。』と。」

　神にこう告げられたものの、モーセはその後も思い悩んだ。この私が、エジプトのファラオの前に出て、そんな高圧的なことを言わなければならないのだろうか。普通に考えれば、そんなことをすれば殺されるに決まっている。とても正気の沙汰ではない。悶々と思い悩みながらエジプトを目指した。

　さて、一方、モーセの兄弟アロンも、神のお告げによって出かけ、途中でモーセと合流した。モーセは今までの神のお告げをアロンに語り、奇跡をアロンの前で行ってみせた。アロンはいたく感激し、２人はともかくエジプトに入った。モーセとアロンはイスラエル人の長老を集め、神がイスラエルの民をエジプトから脱出させるつもりであることを告げ、奇跡を再び目の前で行って見せたので、民はそれを信じ、ひれ伏した。ひれ伏されても、モーセは内心、自信は無かった。私は果たして、無事にイスラエルの民を救えるのだろうか？

　そして次に自分がしなければならないことを思うと、モーセの気持ちはいよいよ重くなった。－　神のお告げによれば、自分は次には、ファラオと対峙しなければならないのである。

（出エジプト記第４章第１８節～第３１節より）

前の記事　　　次の記事