イスラムの歴史 (2007-8-8)

(2007-8-8)　ヤコブ　（ハラン編）　part 1

　ヤコブは母リベカの言葉に従い、兄の恨みを避けて伯父ラバンが住むハランを目指した。やがてある日の昼下がり、ヤコブはハランの近くにたどり着いた。

　見ると、野原に井戸がある。その周りに、羊の群れが伏していた。

　水を飲ませるために羊が集まっているのかと思いきや、井戸には大きな石が載せてあって、羊が水を飲めないようになっていた。

　ヤコブは、辺りにいた羊飼いたちに近づいて尋ねた。「やぁ。あなた達はどこから来ましたか？」

　羊飼いたちは答えた。「俺らは、ハランから来た。」

　自分の目的地の人間に会えるとは。自分の幸運に感謝して、ヤコブはさらに尋ねた。「私は伯父のラバンを訪ねてここまで来たのですが、ラバンを知っていますか？」

　「知っているも何も、娘のラケルがもうすぐ羊を連れてやって来るよ。」

　ヤコブは尋ねた。「ところで、羊を井戸に集めてきたのに、水も飲ませずに群れさせておくなんて・・・。水を飲ませて、草を食べさせに連れていったらどうです？」

　羊飼いたちは答えた。「そうもいかねぇ。羊が全部集まるまで待って、それから石をどけて水を飲ませ、終わったらまた石を元に戻す。そういうことになっているんだ。」

　そうこうするうちに、ラケルが羊を連れてやってきた。

　ヤコブは、ラケルが来たのをみると、井戸の石をどけて、ラケルの羊に水を飲ませた。ヤコブはラケルに口づけして泣き、自分はラケルの従兄弟にあたることを告げた。ラケルは走って家に戻り、父ラバンに告げた。甥が来ていることを知ったラバンは、驚いて走ってヤコブを迎えに来た。

　ヤコブはその日、ラバンの家に滞在した。ヤコブは、ここまで来た事情を話した。すると、ラバンは「お前は、私と血肉を同じくする者だ。遠慮無く、ここで暮らすといい。」　こうして、ヤコブはラバンのところに滞在した。

（次回に続く）

（(2007- 7- 4)の図を再掲）