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(2020-8-1) 偽王スメルディス part 2 （前回からの続き） だが時間の経過とともに、スメルディスが偽物ではないかと疑う者が出てきた。ペルシアの中では身分の高い、オタネスという家臣であった。スメルディスが決して城外へ出ようとしないことと、ペルシアのどの要人とも会おうとしないことから、彼は疑念を抱き始めたのである。彼の娘パイデュメはカンビュセスに嫁いでいたが、カンビュセスの死後、その妻全てをスメルディスが引き継いでいたため、パイデュメは今はスメルディスの妻となっていたのである。 オタネスは自分の娘に密使を送り、夫は本当にスメルディスかどうかを尋ねさせた。娘の返信は、自分はかつてスメルディスを見たことがないので、夫が本物かどうかはわからない、というものだった。オタネスは再び密使を送った。「お前がわからないなら、アトッサはどうだ。アトッサならば、自分の兄弟かどうかわかるだろう。」 アトッサというのは、カンビュセスが自分の妻にした実の妹の一人で（(2020- 7-11) ペルシアの王、カンビュセス part 1参照）、彼女もまたスメルディスの妻になっていた。それに対するパイデュメの答えは、「私はアトッサに会って話すことも、同じ屋敷に住んでいる他の女たちの誰と会うこともできません。あの人が王位を継ぐとすぐ、私たちを別々にして住まわせたからです。」というものだった。 これを聞いたオタネスは、スメルディスが偽物であるという疑惑をさらに深めた。オタネスは娘に伝えた。「あの男と寝床を共にするとき、彼が眠りに落ちたのを見定めたならば、彼の耳に手を触れてみよ。もし耳があれば、それはキュロスの子スメルディスだ。しかしもし耳がなければ、それはマゴスのスメルディスであると考えよ」 なぜオタネスがそのように言ったかといえば、マゴスのスメルディスはキュロスの治世に、重大な罪を犯したことに対する罰として耳を切り落とされたことがあったからである。パイデュメは、自分がスメルディスと寝る日がやってくると、スメルディスが熟睡したのを見届けてからその耳をさぐった。すると果たして、彼には耳がなかった。翌朝、パイデュメは父へ使いを送り、その事実を報告した。 オタネスは、信頼できる要人を味方に引き入れた。まずはアスパティネスとゴブリュアスの２人。彼らも、かねてよりスメルディスに疑惑を抱いていた。３人はそれぞれ、信頼できる人物をもう１人ずつ仲間に加えることとし、それぞれ、インタプレネス、メガビュゾス、ヒュダルネスを加え、同士の数は６人になった。その頃、ペルシアの総督の子、ダレイオスもスサにやってきた。ダレイオスは、その先祖をたどればキュロスの先祖にたどり着く、いわば王家の別家の血筋であった。６人は評議して、ダレイオスも味方に引き入れることに決めた。ダレイオスは彼らに言った。「王位にあるのがマゴスであると思っているのは私一人だと思っていた。私がここに気負ってやってきたのも、あのマゴスを誅殺するためだったのだ。しかし、こうしてそれを知っているのが私だけでなく、あなたたちもわかっているのであれば、直ちに決行するべきだ。遅らせるのは良策ではない。」 （次回に続く） 参考地図1-10-3：偽王スメルディス
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