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(2020-1-25) ペルシア帝国興隆の祖、キュロスの誕生 part 2
（前回からの続き）
ところで、キュロス王の生誕については、紀元前５世紀のギリシアの歴史家ヘロドトスが興味深いエピソードを記している。ヘロドトスの著した『歴史』から引用する。（なお、このウェブサイトではヘロドトスの『歴史』については、松平千秋氏の『歴史』（1971年、岩波文庫）シリーズから引用する。以下は『歴史 上』p.87（第1巻第108節）からの引用である。
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キュアクサレスの子アステュアゲスが（メディア国の）王位を継いだ。アステュアゲスにマンダネという娘があったが、あるとき彼は、この娘が放尿して町中に溢れ、さらにアジア全土に氾濫するという夢をみた。彼はマゴスの夢占いの係りの者にこの夢を話し、彼らから夢の意味を仔細にきいて恐怖したのである。それでアステュアゲスは娘が年頃になった時、その夢に対する危惧から、自分の地位に釣合うようなメディア人からは婿を選ばず、カンビュセスという名のペルシア人に娘を与えたのである。この男は家柄もよく性質もおとなしく、しかもメディアの中流よりはずっと低い地位にあると考えたからである。
ところがマンダネがカンビュセスに嫁いだ最初の年に、アステュアゲスはまた夢をみた。この娘の陰部から一本の葡萄ぶどうの樹が生え、その樹がアジア全土を蔽おおったという夢である。彼はこんな夢をみて、その夢を夢占いの者たちに伝えてから、既に妊娠中の娘をペルシアから呼び寄せ、やってきた娘を厳重に監視させた。娘から生れてくる子供を殺すつもりであったのである。というのは、マゴスの夢占い係りの者たちが、この夢から判断して、彼の娘の生む子が、やがて彼に代わって王になるはずだと告げたからであった。
========================= 引用終了 =========================
（注：引用者が適宜、ふりがなを付してある）
以下、長いので簡単にまとめる。マンダネに子供が生まれると、メディア王アステュアゲスは家臣ハルパゴス（王の親戚でもあった）に、赤子を殺すように命じる。家臣ハルパゴスは、その場は命令を承諾し、赤子を受け取って家に帰るのだが、殺すことははばかられた − というのも、王には男子がなかったからである。もしかしたら、マンダネが次の王（女王）になるかもしれない。もしそうなれば、自分に危険が及ぶ可能性があるのである。
（次回に続く）
参考地図1-9-6：キュロスの誕生
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