イスラムの歴史 (2019-8-3)

(2019-8-3)　エレミヤとゼデキヤ王との最後の会見　part 2

（前回からの続き）

　エレミヤは続けて言った。

　「王妃や、王子たちは皆、カルデア軍のもとに連れて行かれ、王御自身も彼らの手を逃れることができません。必ずバビロンの王の手に捕らえられ、都は火で焼き払われます。」

　エレミヤの主張は一貫していた。新バビロニア王、ネブカドネザルと戦って勝てるはずがない。服従こそ、唯一の生存の道である、と。エレミヤが自分の主張を繰り返すであろうことは容易に想像できたはずなのに敢えて密かに呼び、その意見を聞くのは、ゼデキヤ王もまた迷っていたのであろう。降伏してもネブカドネザルは助けてくれるだろうか、それとも、飢えてもなお籠城し続けるべきなのか・・・。

　結局、ゼデキヤ王は、エレミヤの意見に対して是とも非とも言わなかった。しばらく考えた後、ゼデキヤ王はエレミヤに言った。「このことは、誰にも知られないようにしよう。そうすれば、あなたは殺されないで済む。役人たちは、私があなたと話し合ったことを聞きつければ、きっとあなたのもとに来て、『王に何を話したのか言え。隠さずに話せ。殺しはしないから。何を王がお前に話したかを言え』と言うだろう。そのときは、こう答えるがよい。『私は王に憐れみを乞い、ヨナタンの家に送り返さないでください。あそこでは殺されてしまいます、と言いました』と。」

　エレミヤは監視の庭に戻ったが、やはり王と密かに会っていたことは王宮内の人々の知るところとなった。役人たちは皆、エレミヤのもとに来て尋ねたが、エレミヤがすべて王の命じたとおりに答えたので、黙って去って行った。エレミヤが王に告げたことはついに知られなかった。

　結局エレミヤは、その後も監視の庭に留めて置かれ続け、その場所でエルサレムの占領を迎えることになる。

（エレミヤ書第３８章第１４節～第２８節より）

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