|
(2019-2-2) エレミヤ、預言者ハナンヤと対決する 同じ年の５月に、エルサレムの神殿において、ギブオン出身の預言者、アズルの子ハナンヤが、祭司と民の前でエレミヤに言った。 「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。私はバビロンの王の軛くびきを打ち砕く。２年のうちに、私はバビロンの王ネブカドネツァルがこの場所から奪って行った主の神殿の祭具をすべてこの場所に持ち帰らせる。また、バビロンへ連行されたユダの王、ヨヤキムの子エコンヤ（注）およびバビロンへ行ったユダの捕囚の民をすべて、私はこの場所へ連れ帰る、と主は言われる。なぜなら、私がバビロンの王の軛を打ち砕くからである。」
預言者ハナンヤが「２年以内に捕囚の民や略奪された祭具が戻ってくる」と主張した背景には、『聖書考古学入門２』p.162によれば、新バビロニア帝国内で反乱が発生したことがある、としている。バビロニア年代記において、ネブカドネツァルの治世第10年（紀元前595／594年）に、反乱を処理するためにネブカドネツァルがバビロンに留まったことが記されている。実際のところは反乱はすぐに鎮圧されたので、王は西方に年貢徴収の旅に出たのだが、この反乱の情報が、新バビロニア帝国崩壊の兆しという誤った期待を広げたのではないか、というのである。 それに対して、預言者エレミヤは神殿に立っていた祭司たちとすべての民の前で、預言者ハナンヤに言った。 「アーメン、どうか主がそのとおりにしてくださるように。どうか主があなたの預言の言葉を実現し、主の神殿の祭具と捕囚の民すべてをバビロンからこの場所に戻してくださるように。だが、私があなたと民すべての耳に告げるこの言葉をよく聞け。あなたや私に先立つ昔の預言者たちは、多くの国、強大な王国に対して、戦争や災害や疫病を預言した。平和を預言する者は、その言葉が成就するとき初めて、まことに主が遣わされた預言者であることが分かる。」 すると預言者ハナンヤは、預言者エレミヤの首から軛くびきをはずして打ち砕いた。そして、ハナンヤは民すべての前で言った。「主はこう言われる。私はこのように、２年のうちに、あらゆる国々の首にはめられているバビロンの王ネブカドネツァルの軛を打ち砕く。」そこで、預言者エレミヤは立ち去った。 預言者ハナンヤが、預言者エレミヤの首から軛くびきをはずして打ち砕いた後に、神の言葉がエレミヤに臨んだ。「行って、ハナンヤに言え。主はこう言われる。お前は木の軛くびきを打ち砕いたが、その代わりに、私は鉄の軛を作った。イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。私は、これらの国すべての首に鉄の軛をはめて、バビロンの王ネブカドネツァルに仕えさせる。彼らはその奴隷となる。私は野の獣までをも彼に与えた。」 預言者エレミヤは、預言者ハナンヤに言った。「ハナンヤよ、よく聞け。主はお前を遣わされていない。お前はこの民を安心させようとしているが、それは偽りだ。それゆえ、主はこう言われる。『私はお前を地の面から追い払う』と。お前は今年のうちに死ぬ。主に逆らって語ったからだ。」 預言者ハナンヤは、その年の７月に死んだ。 （エレミヤ書第２８章より） 参考地図1-8-18：預言者ハナンヤとの対決
|
