イスラムの歴史 (2011-11-26)

(2011-11-26)　シェバの女王の来訪

　さてあるとき、シェバの女王はソロモンの名声を聞き、難問をもって彼を試そうとしてイスラエルにやってきた。彼女は極めて大勢の随員を伴い、香料、非常に多くの金、宝石をらくだに積んでエルサレムに来た。

　ソロモンのところに来ると、彼女はあらかじめ考えておいたすべての質問を浴びせたが、ソロモンはそのすべてに解答を与えた。王に分からないこと、答えられないことは何一つ無かった。

　シェバの女王は、ソロモンの知恵と彼の建てた宮殿を目の当たりにし、また、食卓の料理、居並ぶ彼の家臣、丁重にもてなす給仕たちとその装い、献酌官、それに王が神殿で捧げる焼き尽くす献げ物を見て、息も止まるような思いであった。

　女王はソロモン王に言った。

　「私が国で、あなたの御事績とあなたのお知恵について聞いていたことは、本当のことでした。私は、ここに来て、自分の目で見るまでは、そのことを信じてはいませんでした。しかし、私に知らされていたことはその半分にも及ばず、お知恵と富はうわさに聞いていたことをはるかに超えています。

　あなたの臣民はなんと幸せなことでしょう。いつもあなたの前に立ってあなたのお知恵に接している家臣たちはなんと幸せなことでしょう。あなたをイスラエルの王位につけることをお望みになったあなたの神、主はたたえられますように。主はとこしえにイスラエルを愛し、あなたを王とし、公正と正義を行わせられるからです。」

　そうして彼女は金120キカル（約4.1トン）、非常に多くの香料、宝石を王に贈ったが、特に香料については、このシェバの女王がソロモン王に贈ったほどの大量の香料が王国にもたらされることは、それ以前もそれ以後にも無かった。

　余談ではあるが白檀びゃくだんについて言えば、オフィル（位置不詳。『バイブルアトラス―「聖書新共同訳」準拠聖書地図』（日本聖書教会、２０００年）p.27によればアラビア半島南端の辺りか？）から金を積んできたヒラムの船団が極めて大量の白檀や宝石も運んできた。ソロモンはその白檀で神殿と王宮の欄干や、詠唱のための竪琴や琴をつくったが、これほど大量の白檀がもたらされたことは、ヒラムからの船団の他にはそれ以前もそれ以後も無かった。

　ソロモン王はシェバの女王に対し、豊かに富んだ王にふさわしい贈り物をしたほかに、女王が願うものは何でも望みのままに与えた。こうして女王とその一行は故国に向かって帰って行った。

（列王記上第１０章第１項～第１３項より）

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