イスラムの歴史 (2010-7-22)

(2010-7-22)　ダビデとサウルの遭遇　～もう１つのストーリー～　part 3

（前回からの続き）

　同じ朝、サウル王の陣営では、水差しと槍が無くなって大騒ぎになっていた。「私の槍はどこだ！」目覚めて、その事実に気付いたサウルは猛り狂って叫んだ。同じ幕営に寝ていたアブネルや兵たちは驚愕した。誰かがこの幕営に侵入したのか？　そうだとしても、誰も殺されていない。誰かのいたずらだろうか。いたずらにしても度が過ぎている。

　「こんな不届きなことをした輩は、すぐに捕らえて処罰します。」　そう言ってアブネルは必死にサウルをなだめた。アブネルはまだ内部の者の犯行だと考えていた。

　そのとき、ダビデはサウルの陣地から離れたところからサウルの兵に向かって、また、司令官アブネルに向かって叫んだ。

　「アブネル、答えないのか。」

　アブネルは答えて叫んだ。

　「王に呼ばわるお前は誰だ。」

　ダビデはアブネルに言った。

　「お前も男だろう。お前に比べられる者は、イスラエルにはいない。そのお前が、なぜ自分の主人である王を守れなかったのだ。敵兵が一人、お前の主人である王を殺そうと忍び込んだのだ。お前の行いは良くない。主は生きておられる。お前たちは死に値する。主が油を注がれた方、お前たちの主人を守れなかったからだ。さあ、枕元の槍と水差しがどこにあるか見てみよ。」

　まさか。槍と水差しは、ダビデが持っていったとでもいうのか。アブネルは青ざめた。一方、サウルはこの声がダビデのものだと気付いた。サウルはダビデの方に向かって叫んだ。「この声はわが子、ダビデではないか。」

（次回に続く）

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