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(2010-7-12) 洞窟における遭遇 part 3 （前回からの続き） すると、会話ができる距離にサウルが来ると、ダビデは言った。 「ダビデがあなたに危害を加えようとしている、などという噂になぜ耳を貸されるのですか。実は今日、主は洞窟であなたを私の手に渡しておられたのです。そのときあなたを殺せと言う者もありましたが、私は『私の主人に手をかけることはしない。主が油を注がれた方だ。』と言い聞かせました。わが父よ、よくご覧ください。」 ダビデは先ほど切り取ったサウルの上着の端を取り出してサウルに見せた。サウルは息をのんだ。ダビデは続けた。 「これは、あなたの上着の端です。私はあなたの上着の端を切り取りながらも、あなたを殺すことはしませんでした。ご覧ください。私の手には悪事も反逆もありません。私はあなたに対して罪を犯しませんでした。それにも関わらず、あなたは私の命を奪おうと追い回されるのです。主があなたと私の間を裁き、私のために主があなたに報復されますように。私は手を下しはしません。古いことわざに、『悪は悪人から出る』と言います。私が手を下しているのではありません。イスラエルの王は誰を追って出てこられたのでしょうか。あなたは誰を追跡されるのですか。死んだ犬同然の者、一匹の蚤に過ぎないような者ではありませんか。」 ダビデは自分を蚤にすら例えてみせ、続けて言った。 「どうか主が裁き手となって、私の訴えを聞き、あなたの手から私を救ってくださいますように。」 そうしてダビデはひれ伏した。並の覚悟ではこのようなことはできまい。もしサウルの狂気が手が付けられないほどの状態であるならば、この弁明には耳も貸さずにダビデを殺していてもおかしくはないのである。だがダビデは信念に基づいて行動した。一方ダビデの手下は、ダビデに従って地に伏せてはいるものの、気が気ではなかった。もしもサウルがダビデを討つ気ならば、５倍の兵を相手に戦わなければならないのである。 だが、サウルは震えながら言った。「わが子ダビデよ、この声は、お前なのか。」 そうして、声を上げて泣いた。それが収まると、サウルは続けて言った。 「お前の方が正しい。お前は私に善意をもって対し、私はお前に悪意をもって対した。お前は私に善意を尽くしていたことを今日示してくれた。主が私をお前の手に引き渡されたのに、お前は私を殺さなかったのだ。自分の敵に出会い、その敵を無事に去らせる者があろうか。今日のお前の振る舞いに対して、主がお前に恵みをもって報いてくださるだろう。」 サウルは、ダビデを去らせた。ダビデとその手下はエン・ゲディの要害に戻り、サウルもまた、自分の兵を率いて自分の館に戻っていった。 （サムエル記上第２４章より） 参考地図1-6-9：サウル、ダビデを追う
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