イスラムの歴史 (2010-4-5)

(2010-4-5)　ゴリアテ　part 6

（前回からの続き）

　ダビデはいつもの服装に戻ると自分の杖を手に取り、川岸から手頃な大きさの滑らかな石を５個選んだ。そうして身につけていた羊飼いの投石袋にそれらの石を入れ、石投げひもを手にして、全イスラエル軍が見守る中、ゴリアテに向かっていった。

　一方ゴリアテの方は、いつもの挑発を繰り返していた。どうせ誰も出て来やしない　－　そう思って日課のような叫びを繰り返していたところ、イスラエル陣営から一人の人間が出て来たのを見つけた。

　この俺に挑戦する人間がいようとは。ゴリアテは不敵な笑みを浮かべると、盾持ちを先に立てて、ダビデに向かって歩き出した。

　やがて互いが接近してお互いの姿を認められるようになったとき、ゴリアテは、自分に向かってきているのが血色の良い、姿の美しい少年だったので拍子抜けし、かつ侮った。さんざん挑発して誰が出てくるかと思えば、イスラエル軍は少年を出してくるのか。ゴリアテは馬鹿にし切っていた。自分の半分の背丈しかないダビデを見ては、当然だろう。ダビデが杖を手にしているのを見て、さらに馬鹿にしてダビデに向かって叫んだ。

　「俺は犬か。杖を持って俺に向かってくるのか。」

　自陣を振り返って皆に嘲笑させると、ゴリアテはダビデの方に向き直ってからペリシテ人の神々の名によってダビデを呪い、そうしてダビデに叫んだ。

　「さあ、来い！　お前の肉を、空の鳥や野の獣のえさにしてくれる！」

　それを聞いたダビデは、離れているゴリアテに敢えて聞かせようとすらせずに、静かに言った。

　「お前は剣や投げ槍で私に向かってくるが、私はお前が挑戦したイスラエルの戦列の神、万軍の主の名によってお前に立ち向かう。今日、主はお前を私の手に引き渡される。私はお前を討ち、お前の首をはね、今日、ペリシテ軍の屍を空の鳥と地の獣に与えよう。全地上のものはイスラエルに神がいますことを認めるだろう。主が救いを賜るのに剣や槍は必要ない。」

（次回に続く）

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