イスラムの歴史 (2009-9-21)

(2009-9-21)　ナオミとルツ　part 9

（前回からの続き）

　夜半になって寒くなったボアズは、手探りで覆いを探した。見ると、一人の女が足下に寝ていた。

　驚いてボアズは飛び起き、「お前は誰だ」と言うと、ルツは答えた。

　「私は、あなたのはしためルツです。どうぞあなたの衣のすそを広げて、このはしためを覆ってください。あなたは家を絶やさぬ責任のある方です。」

　「ルツか・・・」ほっとしてボアズは体の緊張を解いた。そうして続けて言った。

　「私の娘よ。どうかあなたに主の祝福があるように。あなたのような立場ならば、私よりも若い男を追いかけていても不思議ではないのに、あなたはそれをしなかった。あなたの示した真心は、今までの真心よりも勝っている。私の娘よ、心配しなくてもいい。きっと、あなたの言うとおりにしよう。この町の主な人々は皆、あなたが立派な婦人であることをよく知っている。」

　ルツを妻として迎える、という意味である。ルツがほっとしていたのも束の間、ボアズは続けた。

　「ただ、確かに私もあなたの家を絶やさぬ責任のある人間ではあるが、実は私以上に責任のある人がいる（＝ボアズよりもナオミの亡夫エリメレクに近い親戚がいる）。今夜はここで過ごしなさい。明日の朝、その人のところに行ってみよう。もしもその人が責任を果たすというのならそうさせよう。しかしその人がそれを好まれないのなら、主はきっと生きておられる。私が責任を果たそう。さあ、朝まで休みなさい。」

　ルツは、朝までボアズの足もとで休んだ。

（次回に続く）

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