イスラムの歴史 (2009-7-13)

(2009-7-13)　士師サムソン　part 16

（前回からの続き）

　デリラはサムソンに言った。

　「あなたの心は私にないのに、どうして『お前を愛している』などと言うのですか。もう３回もあなたは私を侮り、怪力がどこに潜んでいるのか教えてくださらなかった。」

　来る日も来る日も彼女がこうしてしつこく迫ったので、サムソンはそれに耐えきれず死にそうになり、ついに心の中を一切打ち明けた。

　「私は母の胎内にいたときからナジル人として神に捧げられているので、頭にかみそりを当てたことがない。もし髪の毛を剃られたら、私の力は抜けて私は弱くなり、並の人間のようになってしまうのだ。」

　今度こそサムソンが本当のことを話したと見て取ったデリラは、ペリシテ人の領主たちに密かに使いを送った。

　「上ってきてください。今度こそ、彼は心の中の一切を打ち明けました。」

　ペリシテ人の領主たちは狂喜した。さっそく彼らは約束の銀を携え、デリラの居所の近くに待機した。

　その日の夜。サムソンはデリラの膝を枕に眠った。デリラは密かにペリシテ人を導き入れ、サムソンの髪の毛を剃らせた。

　そうしてデリラは、また叫んだ。「サムソン、起きて！　ペリシテ人が来たわ！！」

　今度は本当だった。デリラの居所を囲む大勢の人の気配がする。

　「よし、いつものように出て行って暴れてくる。」

　そう言って寝起きのサムソンは出ていったが、髪の毛を剃られた彼の力は、並の人間の力に戻ってしまっていた。ペリシテ人たちはあっという間にサムソンを捕らえ、縛り上げてしまった。

（次回に続く）