イスラムの歴史 (2008-4-14)

(2008-4-14)　金の子牛　part 2

（前回からの続き）

　民の喜ぶ様を見て、アロンは祭壇を築き、「明日、主の祭を行う」と宣言した。翌朝、彼らは早く起き、犠牲を神にささげ、大いに食し、宴に興じた。

　一方、同じ頃。山にこもっていたモーセに、神は告げた。

　「直ちに下山せよ。あなたがエジプトから連れ出した民は堕落し、早くも私が命じた道からそれて、若い雄牛の鋳造を造っていけにえを捧げて拝んでいる。」

　モーセが驚くと、神は続けて言った。「私はこの民を見てきたが、実にかたくなな民である。私を止めるな、モーセよ。私の怒りは燃え上がっている。私は彼らを滅ぼし尽くし、あなたから大いなる民をつくりだす。」

　モーセはめまいがした。かつて人が洪水で滅ぼし尽くされた話（(2007- 6-11)　ノアの箱舟参照）は言い伝えで聞いていたが、今、神はここでまた破滅を実施されようとしている。それもあろうことか、民が偶像をつくって神の怒りを買っているためだというのである。

　モーセは必死に神をなだめた。「主よ、どうしてご自分の民に向かって怒りを燃やされるのですか。あなたご自身がエジプトから導き出された民ではありませんか。もしここで彼らを滅ぼすのであれば、エジプト人は『あの神は、滅ぼすためにわざわざ民をエジプトから連れ出したのだ』と言うに違いありません。どうか思い直してください。あなたのしもべであるアブラハム、イサク、イスラエル（ヤコブ）を思い起こしてください。あなたご自身が、『あなたたちの子孫を天の星のように増やし、この土地を授ける』と言われたではありませんか。」

　モーセの懸命の説得で、直ちに破滅を実施することだけは免れた。だが、それはすなわち偶像の問題の処理をモーセが預かった形になった。

　４０昼夜山に留まっていた間に授かった、律法を記した石板を携え、急いでモーセはヨシュアを連れて下山した。

（次回に続く）

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