イスラムの歴史 (2008-1-8)

(2008-1-8)　モーセの誕生　part 2

（前回からの続き）

　祈りながら母ヨケベドが見守っていると、ファラオの王女が水浴びをしようと川に下りてきた。王女が川辺にたたずんでいると、赤ん坊の泣き声がする。みると、籠に入った男の子が泣いていた。

　王女は、侍女を呼んで、籠を持ってこさせた。見ると、男の子が入っている。「きっと、ヘブライ人の子どもでしょう。」　王女も、男児殺害命令のことは知っていた。そうはいうものの、現に目の前にいる赤ん坊を殺すべきだとはとても思えなかった。

　王女たちが弟を抱いているのを見て、姉は母親の元を離れ、弟に駆け寄った。「あら、まぁ」王女は、駆け寄ってきたヘブライ人の女の子を見て微笑んだ。「あなたもヘブライ人ね。ご覧なさい、きっとこれはヘブライ人の男の子よ。」

　恐る恐る、姉は尋ねた。「その子も、いなくなっちゃうの？」

　殺されることを心配しているのを見て王女は、安心させるように答えた。「大丈夫よ。安心しなさい。－でも、この子に母乳を与えてくれる人を探さないと、難しいかもしれないけど。」

　「そういう人（乳母）を連れてきましょうか？」姉が言うと、王女は「そうしておくれ」と答えた。

　姉は、母親ヨケベドのところに走って戻って、仔細を知らせた。母親が王女のもとへいくと、王女は言った。「この子に、私の代わりに乳を飲ませておやり。手当は私が出しますから。」

　こうして、その子はファラオの王女公認の存在となり、母親はその子が母乳を必要としなくなるまで育ててから王女のところに届けた。王女は彼を引き取り、王女の子となった。王女は彼をモーセと名付けて言った。「この子は私が水の中から引き上げた（マーシャー）のですから。」

（出エジプト記第２章第１節～第１０節より）