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(2007-10-19)　ユダとタマルの話　part 4

（前回からの続き）

　数ヶ月が経った。

　ある噂が、ユダのところに入った。それは、タマルが妊娠したという話であった。次男が亡くなってから待たせている間に、他の男の子どもを身ごもったことになる。一族の恥さらしもいいところだ。ユダは激高して言った。「なんだと！！　あの女を焼き殺してくれる！」　羞恥心がユダの反応を過激なものにしていた。

　やがてユダの反応がタマルに伝わることになった。ユダの一族のしもべなど、タマルの近所に行き来する者があったからである。その反応を聞いて、タマルは例の印章と杖をその者に託して言った。「ユダ様がお怒りになっているそうで」　印章と杖を渡してタマルは続けた。「どうかお伝えください。私はこの品々の持ち主との間に子をもうけたのです、と。」

　使いの者がユダにその品々と言葉をもたらすと、ユダは一瞬で、ことのすべてを理解した。かつ、タマルに対して、三男シェラが成人したら再婚させると約束しながらそれを反故にしていたことも思い起こした。

　力なく、ユダはその使いの者に言った。「彼女に過ちはない。私が、シェラを彼女に与えなかったからだ。」　そうして、タマルの件については不問に付した。

　聖書の創世記の記述によれば、ユダとタマルがその後、関係を持つことはなかった。そうしてタマルが双子を産んだところで、この話を終えている。兄がペレツ。弟がゼラ。やがて兄のペレツの子孫から、後の王、ダビデが出るのである。

（創世記第３８章より）

　余談だが、日本における「聖書　新共同訳」では、よく「AはBを知った」という表現が出てくる。これは婉曲表現で、英語版の聖書であれば「A have relations with B」で、これに近い日本語表現は「AとBは関係を持った」というところであろう。上の部分も、日本語の聖書では「ユダは、再びタマルを知ることはなかった」と表現されている。

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