|
Copyright(C)2007. Hidenori Tsuchikura. All rights reserved (Except some contents I write "this is other person's or organization's product.")
|
|
(2007-10-3) シケムでの出来事 part 2 （前回からの続き） やがてシケムの父ハモルが帰ってきた。息子シケムからことの仔細を聞くと、ハモルは仰天した。「ヤコブの娘に手を出した、だと！？」 シケムと違い、ハモルは土地のことに明るい。今、自分の土地に滞在しているのはイサクの息子ヤコブで、エサウの弟であることを知っていた。ヤコブはともかく、あの猛々しいエサウの姪に手を出したことを意味する。それは同時に、下手をすればエサウの一族に狙われることを意味した。 ハモルの反応を聞いても、若いシケムは自分の情熱を抑えきれなかった。「でも父さん、私はこの娘に惚れたんです。どうか、結婚させてください。」 息子の熱っぽい意見に動かされ、ハモルは意を決した。エサウ、ヤコブの一族と争いになるかもしれないが、息子がその娘に心底惚れ込んでいる。誠意をもって頼めば、シケムの妻として迎えるのも不可能ではないのではないか？ ハモルは息子に言った。「日を改めて、正式に結婚の申し込みをしよう」 一方のヤコブは、心中穏やかではなかった。娘のディナが帰ってこない。しもべたちに探させると、ハモルのところにいるらしい。誘拐同然ではないか − とも思ったが、息子たちは今、家畜を連れて野に出ている。腹が煮えくりかえるのを抑え、とにかく息子たちが戻るのを待った。 （次回へ続く）
|
|
Copyright(C)2007. Hidenori Tsuchikura. All rights reserved (Except some contents I write "this is other person's or organization's product.")
|
