|
Copyright(C)2007. Hidenori Tsuchikura. All rights reserved (Except some contents I write "this is other person's or organization's product.").
|
|
(2007-8-10) ヤコブ （ハラン編） part 2 （前回からの続き） １ヶ月が過ぎた。この間、ヤコブはラバンの手伝い（羊の世話）をして過ごした。 ヤコブの働きぶりに感心して、ラバンは言った。「お前は私の親戚だろうけれども、何も、ただ働きすることもあるまい。こんなにも働いてくれるのだから。何か望みのものはないか？ 報酬を与えよう。」 ラバンには二人の娘がいた。姉はレア、妹はラケル。聖書中の表現では「レアは優しい目をしていたが、ラケルは顔も美しく、容姿も優れていた。」となっている。ぶっちゃけた話、妹の方が美人だったのであろう。 ヤコブは言った。「下の娘のラケルを妻としていただけるのであれば、私は７年間働きます。」 この申し出に、ラバンは意表をつかれたが、平静を装って言った。「よかろう。見ず知らずの人間に嫁がせるよりも、お前に嫁がせる方が安心だ。」 「約束しましたよ？ ７年後、ラケルを妻にください。」 こうしてその日からヤコブはラバンのもとで、まじめに働き続けた。（７年間働けば、美人のラケルを妻としてもらえる）という思いで満たされていたのであろう。おそらくはラケルも、その話は知っていて、その日を待ち続けたのではないかと思う。この間、姉のレアの胸中はどうだったか、定かではない。 妹と、従兄弟のヤコブが、楽しそうに会話しているのをみて、嫉妬しなかったとは思えない。しかしその間のことは、聖書中には記述されていないから、想像するよりほかにはあるまい。
さて、約束の７年間が過ぎた。 ついにその日を迎え、ラバンは土地の者を集めて、ヤコブのために婚礼の祝宴を開いた。そうして夜、ヤコブは新婦のいるテントの中に入り、初夜を迎えた。どんなに話しかけても、言葉を発せず沈黙を守る新婦の様子が少し不自然だったが、そこは初夜のこと。酒宴で酔い、かつ気持ちが高揚していたヤコブは気にせず行為を終え、眠りに就いた。そして明くる朝、ヤコブは自分が誰と寝たのかを知った。それは自分が愛したラケルではなく、姉のレアだった。 （次回に続く）
|
|
Copyright(C)2007. Hidenori Tsuchikura. All rights reserved (Except some contents I write "this is other person's or organization's product.").
|
