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(2007-6-25)　ハガルとイシュマエルの追放 part 2

　さて、前回紹介した話（(2007- 6-22)　ハガルとイシュマエルの追放　part 1）であるが、実はこの物語、Ｅ文書（北王国版）によるものである。Ｊ文書（南王国版）にも似たような話がある。もののついでなので、こちらも紹介しておこう。

　話は少し、さかのぼる。まだ、アブラハムがアブラムと名乗っていた頃、そしてその妻サラがサライと名乗っていた頃。神によって、アブラムの子どもが繁栄すると啓示は受けたものの、一向に子どもが生まれない（(2007- 6-15)　アブラハム　part 2参照）。思案したサライは夫アブラムに、自分の女奴隷ハガルと寝るように勧めた。

　その結果、ハガルは身ごもった。

　すると、ハガルは自分の主人サライを軽んじるようになった。自分には子どもができないひがみがある上に、自分の奴隷にこういう態度を示されたことで、サライは − 今の日本の表現で言えば − 切れた。そうして、夫アブラムに訴えた。

「なんですか、あの女は。身ごもったとわかったら、まるで勝ち誇ったような態度をして。生意気だわ！！」

　妻にがみがみ言われて、アブラハムも弱った。「あの女奴隷は君のものなんだから、好きなようにしてくれ」

　それで、サライはハガルにことあるごとにつらく当たった。サライのいびりがひどくて耐えかねず、ついにハガルはサライのもとから逃げた。身重でありながら、道を歩いていく。すると、泉のほとりで神の使い（天使）と出会った。天使が言った。

「サライの女奴隷、ハガルよ。あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。」

　ハガルは答えた。「主人サライのもとから、逃げているところです。」

　すると天使は言った。「もとのところへ戻り、主人に従順に仕えなさい。私はあなたの子孫を、数え切れないほど多く増やす。」

　さらに天使は言った。「あなたは男の子を産む。その子をイシュマエルと名付けなさい。彼は野生のろばのような者になる。彼があらゆる人にこぶしを振りかざすので、人々は皆、彼にこぶしを振るう。」

　ハガルは天使の言葉に従い、サライのもとへ戻った。そうしてやがて、イシュマエルが生まれたのである。

　時が流れ、アブラハムとサラの間にも子ども、イサクが生まれた。そうした後で、アブラハムは自分の側女から生まれた子どもたち（イシュマエルを含む）に贈り物を与え、遠く東の方に去らせた。跡継ぎ問題でもめることをおそれたのであろう。

（旧約聖書　創世記　第１６章第１〜２節、第３〜１４節及び第２５章第５〜６節から）

　・・・ということで、Ｊ文書（南王国）版の物語では、アブラハムはそれなりの財産を持たせて、家を去らせたことになっている。

（Ｊ文書、Ｅ文書については(2007- 6- 4)　聖書の成り立ち　part 4参照）。

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