イスラムの歴史 (2019-10-19)

(2019-10-19)　エジプトへ　part 2

（前回からの続き）

　エレミヤは続けた。

「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。もしあなたたちが、どうしてもエジプトへ行こうと決意し、そこに行って寄留するなら、まさに、あなたたちが恐れている剣が、エジプトの地で襲いかかり、心配している飢えがエジプトまで後を追ってとりつき、あなたたちはそこで死ぬ。エジプトへ行って寄留しようと決意している者はすべて剣、飢饉、疫病で死ぬ。私が臨ませる災いを免れ、生き残る者はひとりもない。

　まことに、イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。あなたたちがエジプトへ行けば、私の怒りと憤りがエルサレムの住民にふりかかったように、あなたたちにふりかかる。あなたたちは、呪い、恐怖、ののしり、恥辱の的となり、二度とこの場所を見ることはできない。ユダの残った人々よ、主はあなたたちに対して、『エジプトへ行ってはならない』と語られた。今日、私がこの警告を伝えたことを、しっかり心に留めなさい。あなたたちは、致命的な誤りを犯そうとしている。

　『我々のために我々の神である主に祈ってください。我々の神である主が語られることを知らせてくださるなら、すべてそのとおりにします』と言って、私をあなたたちの神である主のもとに遣わしたのは、あなたたち自身である。そこで、私が今日それを告げたのに、自分の神である主の声を聞こうとせず、主が私を遣わして語られたことを全く聞こうとしない。だから今、行って寄留しようとしているその場所で、あなたたちは剣、飢饉、疫病によって死ぬことを、しっかりと知らねばならない。」

　エレミヤが民の全員に語り終えたとき、ホシャヤの子アザルヤ、カレアの子ヨハナンと一部の人々はエレミヤに向かって言った。「あなたの言っていることは偽りだ。我々の神である主はあなたを遣わしていない。主は、『エジプトへ行って寄留してはならない』と言ってはおられない。ネリヤの子バルクがあなたを唆して、我々に対立させ、我々をカルデア人に渡して殺すか、あるいは捕囚としてバビロンへ行かせようとしているのだ。」

　エレミヤは、新バビロニア派とでも言うべき立場である。エレミヤとしては、バビロニアに取りなす自信もあったかもしれない。だが、自分たちの命が懸かっている民にとっては、ここに踏みとどまることは博打にしか見えなかった。

　こうして、ヨハナンと軍の長たちすべて、および民の全員は、ユダの地にとどまれ、というエレミヤの声に聞き従わなかった。ヨハナンと軍の長たちはすべて、ユダの残留民をすべて集めた。そしてヨハナンたちは、預言者エレミヤと、その弟子バルクも連れて、エジプトへ向かっていった。彼らはエジプトのタフパンヘス（『新共同訳　旧約聖書略解』p.868によれば、今日のテル・デフネ）にたどりついた。

　エレミヤとしては、バビロンに捕囚として連れ去られた民も、いつかきっと帰ってくる時が来るから、ユダの地に踏みとどまり、その基礎を維持したいという思いもあったと思う。だが、ヨハナン以下、ユダの残留民に、半ば強制的にエジプトに連れ去られてしまった。エジプトに行った後、エレミヤがどのような人生をたどったのかは、不明である。聖書にも記されていない。

（列王記下第２５章第２２節～第２６節、エレミヤ書第４０章～第４３章第７節より）

参考地図1-9-3：エジプトへ
　

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