イスラムの歴史 (2014-6-7)

(2014-6-7)　アラム軍の敗退　part 1

　アラムの王がイスラエルと戦っていたときのことである。王は家臣を集めて協議し、「これこれのところに陣を張ろう。」と言った。しかし、エリシャはイスラエルの王のもとに人を遣わし、「その場所を通らないように注意してください。アラム軍がそこに下ってきています。」　イスラエルの王は、使いを送り、自軍に情報を伝えた。エリシャが警告したので、王はそこを警戒するようになった。これは一度や二度のことではなかった。

　アラムの王の心はこのことによって荒れ狂い、家臣たちを呼んで言った。「我々の中の誰がイスラエルの王と通じているのか、私に告げよ。」　家臣の一人が答えた。「誰も通じていません。我が主君、王よ、イスラエルには預言者エリシャがいて、あなたが寝室で話す言葉までイスラエルの王に知らせているのです。」　アラムの王は言った。「行って、彼がどこにいるのか、探してこい。私は彼を捕らえるために人を送る。」　こうして王に、「彼はドタンにいる。」という知らせがもたらされた。王は、軍馬、戦車、それに大軍をそこに差し向けた。彼らは夜中に到着し、その町を包囲した。

　エリシャの召使いが朝早く起きて外に出てみると、軍馬や戦車を持った軍隊が町を包囲していた。従者は屋内に戻り、エリシャに言った。「ああ、御主人よ、どうすればいいのですか。」　するとエリシャは「恐れてはならない。私たちと共にいる者の方が、彼らと共にいる者より多い。」と言って、神に祈り、「主よ、彼の目を開いて見えるようにしてください。」と願った。すると、従者の目には、エリシャの周りを火の馬と戦車が囲んで、山のように満ちているのが見えた。

　アラム軍が町の中に攻め下ってきたので、エリシャは神に祈って、「この異邦の民を打って、目をくらましてください。」と言った。すると、その言葉どおりにアラム軍の兵士たちの目がくらまされた。エリシャは彼らに、「これはあなた達の行く道ではない。これはあなたたちの求める町ではない。私について来なさい。あなたたちの捜している人のところへ私が連れて行ってあげよう。」と言って、彼らをサマリアに連れて行った。

　彼らがサマリアに着くと、エリシャは「主よ、彼らの目を開いて見えるようにしてください。」と言った。そうして彼らの目が見えるようになると、彼らは自分たちがサマリアの真ん中で北イスラエル軍に囲まれていることを知って愕然とした。イスラエルの王は彼らを見てエリシャに、「私の父よ、私が打ち殺しましょうか、打ち殺しましょうか。」と言った。だが、エリシャは答えた。「打ち殺してはならない。あなたは捕虜とした者を剣と弓で打ち殺すのか。彼らにパンと水を与えて食事をさせ、彼らの主君のもとに行かせなさい。」

　そこで王は彼らのために大宴会を催した。彼らは食べて飲んだ後、自分たちの主君のもとに帰っていった。このアラムの部隊は二度とイスラエルの地に来なかった。

（次回に続く）

参考地図1-7-17：ナアマンとエリシャ～アラム軍の敗退

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