イスラムの歴史 (2011-7-9)

(2011-7-9)　王位継承の争い　part 4

（前回からの続き）

　アドニヤと、彼と共にいた全ての客は、その声を聞いた。彼らは食事を終えたばかりであった。ヨアブは角笛の音を聞いて、「どうして町に騒がしい声がするのだろうか」と言った。こう話しているうちに、祭司アビアタルの子ヨナタンが深刻な表情でやって来た（ヨナタンは、ダビデがエルサレムを脱出するにあたって父と共に連絡員としてエルサレムに潜伏した男。(2011- 2-10)　ダビデとフシャイ／ダビデとツィバ参照。父アビアタルがアドニヤの側についたので、彼もまたアドニヤの側についたのかもしれない）。アドニヤはヨナタンを見ると言った。

　「近くに来るがよい。お前は勇敢な男だ。良い知らせがあるに違いない。」

　だが、ヨナタンはアドニヤに答えて言った。

　「いいえ、我らの主君、ダビデ王はソロモンを王とされました。王は、ソロモンと共に祭司ツァドク、預言者ナタン、ヨヤダの子ベナヤ、クレタ人とペレティ人を遣わし、彼らはソロモンを王のらばに乗せました。祭司ツァドクと預言者ナタンはギホンでソロモンに油を注いで王とし、彼らがそこから喜び祝いながら上ってきたので町は騒いでいるのです。あなたがたに聞こえたのはその声で、ソロモンはすでに国王の座についています。王の家臣も次々と来て、我らの主君、ダビデ王に祝いの言葉を述べています。『あなたの神がソロモンの名をあなたの名よりも優れたものに、ソロモンの王座をあなたの王座よりも大いなるものにしてくださいますように。』と。王は寝床の上でひれ伏し、こう言われました。『イスラエルの神、主はたたえられますように。主は今日私の王座につく者を与えてくださり、私はそれをこの目で見ている。』と。」

　アドニヤに招かれた客は皆、この話を聞いて震えながら立ち上がり、それぞれ帰途についた。ダビデの指名によりソロモンが王となった今、アドニヤの立場は反逆者のようなものになったのである。アドニヤと同席しているということは、彼らもまた反逆者と見なされる恐れがあった。

　アドニヤもソロモンを恐れて立ち、歩いて祭壇のところまで行くとその角をつかんでそこから動かなくなった。その知らせがソロモンにもたらされた。「アドニヤはソロモン王を恐れ、祭壇の角をつかんで言っています。『このしもべを剣にかけて殺すことはないと今日、ソロモン王に誓っていただきたい。』と。」　ソロモンは言った。「彼が潔く振る舞えば髪の毛一筋さえ地に落ちることはない。しかし、彼に悪が見つかれば死ななければならない。」

　ソロモン王は人を遣わしてアドニヤを祭壇から下ろさせた。やがてアドニヤがソロモン王の前に出てひれ伏すと、ソロモン王は、「家に帰るがよい。」と言った。

（列王記上第１章より）

参考地図1-6-24：王位継承の争い

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