イスラムの歴史 (2011-6-4)

(2011-6-4)　ダビデの人口調査　part 1

　あるとき、神がダビデに「イスラエルとユダの人口を数えよ」と誘った。この表現は聖書中のサムエル記下第２４章第１節におけるもので、同じ聖書中の文書であっても違う著者による歴代誌上第２１章第１節の表現に従えば、サタンがダビデに人口を数えるように仕向けたという。ダビデはヨアブとほかの将軍たちに命じて言った。「ダンからベエル・シェバに及ぶイスラエルの全部族の間を巡って民の数を調べよ。民の数を知りたい。」

　ヨアブは王に言った。

　「あなたの神、主がこの民を百倍にも増やしてくださいますように。主君、王ご自身がそれを直接目にされますように。主君、王はなぜ、このようなことを望まれるのですか。」

　しかし、ヨアブと軍の長たちに対する王の命令は厳しかったので、ヨアブと軍の長たちはダビデの前を辞し、イスラエルの民を数えるために出発した。彼らはヨルダン川を渡って、アロエルとガドの谷間の町から始め、更にヤゼルを目指し、ギレアドに入って、ヘト人の地カデシュに至り、ダン・ヤアンからシドンに回った。彼らはティルスの要塞に入り、ヒビ人、カナン人の町をことごとく巡ってユダのネゲブの、ベエル・シェバに至った。彼らは９ヶ月と２０日をかけて全国を巡った後、エルサレムに帰還した。

　ヨアブは調べた民の数を王に報告した。それによれば、剣を取りうる戦士はイスラエルに８０万人、ユダに５０万人いた。なお、歴代誌上第２１章第６節の記述に寄れば、ヨアブはダビデの人口調査の命令は忌むべきものと考えたため、レビ人とベニヤミンの調査はしなかった、とある。

　さて、民を数えたことはやがてダビデの心に呵責となった。あるとき、ダビデは神に言った。

　「私は重い罪を犯しました。主よ、どうかしもべの悪をお見逃しください。大変愚かなことをしました。」

　翌朝ダビデが起きる頃、神の言葉がダビデの預言者であり先見者であるガドに臨んでいた。「行ってダビデに告げよ。主はこう言われる、『私はあなたに三つのことを示す。その一つを選ぶがよい。私はそれを実行する。』と。」

　驚いて、ガドはダビデのところに来ると、神の言葉を告げた。

　「大変です。主は私に、あなたのところへ行き、三つのうちの一つを選ぶようにと告げられました。その三つとは、三年間の饑饉があなたの国を襲うことか、あなたが三ヶ月間敵に追われて逃げることか、三日間あなたの国に疫病が起こることか、このどれかです。よく考えて、私を遣わされた方にどうお答えすべきか、決めてください。」

（次回に続く）

参考地図1-6-23：ダビデの人口調査

前の記事　　　次の記事