イスラムの歴史 (2010-9-13)

(2010-9-13)　ダビデ、アマレク人を追撃する　part 1

　ダビデの話に戻る。留守の最中にダビデたちの拠点であるツィクラグから妻子たちを奪われたダビデとその部下は、彼らの妻子たちを略奪したアマレク人の追撃にかかった。

　生存者からの情報でアマレク人が去った方向を聞くと、ダビデたちは食糧等を持って出発した。家畜を奪っていったようなので、相手の移動速度も限られている。四方に目を凝らし、行く先々で情報を集めながら、やや速いペースで移動した。するとどうやらアマレク人たちは、ベソル川を渡ったらしい。ダビデは先を急いだが、先を急ぐあまり、ダビデの６００人の配下の一部には疲労の色が濃くなり始めた。ついにベソル川に到着したとき、一部の兵は、疲れすぎていて川を渡る気力は無かった。

　先を急ぐダビデに、側近は言った。

　「お待ちください。急いでここまで来たため、兵の一部は川を渡れる状態にはありません。いったん、休みましょう。」

　ダビデは兵を見渡して、部下たちが川を渡る元気があるかどうか尋ねた。過半数の者は渡れそうだったが、一部の者は疲れがひどく、渡れなさそうだった。全員が渡れるまで休息するか、全員が渡れずとも先を急ぐか。兵力と速度の二者択一を迫られたダビデは、速度の方を選んだ。念のため皆に少しの休息を与えると、まだ元気がある兵を率いて川を渡った。結局川を渡ったのは全体の３分の２にあたる４００人で、２００人の兵は川を渡ることができず、そこに留まった。

　川を渡って進んでいくと、やがてダビデの兵士たちは野原で飢えて倒れている一人のエジプト人を見つけた。兵士たちはそのエジプト人をダビデの元へ連れてきた。ダビデは命じて言った。

　「彼に、水と食料を与えてくれ。」

　兵たちはこのエジプト人に水とパンを与え、更に干しイチジクひとかたまりと干しぶどう二房を与えて食べさせた。ようやくそのエジプト人は元気を取り戻した。聞けば、三日三晩、飲まず食わずだったという。ダビデが彼に「お前は誰の配下の者か。どこから来たのか。」と尋ねると彼は言った。

　「私はエジプトからの従者で、アマレク人の奴隷になっていました。３日前に病気にかかり、主人に捨てられました。ネゲブに侵入し、ツィクラグに火をかけたのは我々です。」

（次回に続く）

参考地図1-6-12：ダビデ、アマレク人を追撃する

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