イスラムの歴史 (2010-2-8)

(2010-2-8)　ヨナタン、命に背く　part 3

（前回からの続き）

　占いとはいえ、古代ではその意味は大きい。神はサウルの問いを黙殺したのである。サウルは青ざめ、以下のように命じた。

　「兵士の長は皆、ここに近寄れ。今日、この罪は何によって引き起こされたのか、はっきりさせる必要がある。この罪を引き起こした者は、たとえ私の息子ヨナタンであろうとも、死ななければならない。」

　サウルの言葉に、兵士たちは誰も答えようとしなかった。

　静寂の中、サウルはイスラエルの全軍に言った。

　「お前たちはそこにいろ。私と息子ヨナタンはこちらにいよう。」

　そうしてサウルは神に祈った。「くじにより罪を犯した者をお示しください。」

　くじはサウルと息子ヨナタンに当たり、兵士たちは免れた。

　かすかに兵士たちのざわめきが起きる中、サウルは再び神に祈って言った。

　「私なのか、ヨナタンなのか。くじによりお示しください。」

　くじはヨナタンに当たった。兵たちは息を飲み、ヨナタンは目を閉じた。

（次回に続く）