イスラムの歴史 (2009-7-16)

(2009-7-16)　士師サムソン　part 17

（前回からの続き）

　「やったぞ！　ついにサムソンを捕らえた！！」

　喜んだ彼らはサムソンを袋だたきにし、サムソンの両目をえぐり取った。

　そうしてうめくサムソンを、彼らはガザまで連れ帰った。報酬の銀をもらったデリラは何処ともなく消え、その後、彼女の消息を知る者はなかった。

　ペリシテ人の領主たちは言った。

　「これほど愉快なことはない。よし、サムソンには青銅の足かせをはめ、牢屋にぶち込むのだ。一生、粉でもひかせていろ！」

　そう命じ、彼らは祝杯を挙げた。

　こうして、サムソンの屈辱の日々が始まった。

　むち打たれ、殴られ、残飯のような食事を食べながら黙々と粉をひいた。もう、目は見えない。足かせもはめられている。サムソンへの生殺与奪権は、完全にペリシテ人の側にあった。

　一日中うめきながら粉をひいて、くたくたになってはまずい食事を食べ、泥のように眠る日々が続いた。

　（このまま、俺は一生粉をひいて終わるのか）

　泣きたくなるような日も多々あったが、もう、涙を流す目すらサムソンには無かった。

　そうして、時が過ぎていった。

（次回に続く）