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(2009-5-4) 士師エフタ part 7 （前回からの続き） エフタの娘は、父親が戦に勝利したことを既に伝え聞き、父親を喜ばせようと鼓を打ち鳴らして踊りながら迎え出たのである。 彼女はエフタにとって唯一の子で、エフタには他に息子も娘もいなかった。 一応、エフタの心境を補足しておかなければなるまい。現代における理解と、古代における理解は多分違うからである。(2007- 5- 1) 古代の生活と宗教でも書いたとおり、古代においては神の力は絶大である。気象を操り、人間の運命を左右し、時に理不尽に人間を病気で撃ち、死に至らせる。古代における神は、そういう超越的な存在として君臨している。 そうしてエフタは、その『神』と、契約を結んだのである。神はエフタに勝利をもたらす代わりに、エフタは家に帰って最初に見たものを焼き尽くす犠牲として捧げる。神は既にその契約を履行した。残されたのは、エフタの側の履行だけだったのである。 科学が進歩した現代と異なり、古代では様々な現象が、人間の理解を超えていた。農作物の豊作凶作、戦争における勝利と敗北。時には人智を超える不運もあった。であればこそ人間は神を恐れおののき、犠牲をささげて必死に神の機嫌を取ったのである。 （次回に続く）
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