イスラムの歴史 (2009-3-2)

(2009-3-2)　士師ギデオン　part 16

（前回からの続き）

　戦いが終わり一段落してから、イスラエルの人々はギデオンに言った。

　「ミディアン人の手から我々を救ってくれたのはあなたですから、あなたはもとより、ご子息、そのまたご子息が我々を治めてください。」

　世襲制による王制をギデオンに要請したのである。それまでイスラエルには王制はなかった。

　すると、ギデオンは言った。

　「私はあなたたちを治めない。息子もあなたたちを治めない。主があなたたちを治められる。」

　王制の申し出を拒絶したのである。

　しかし一方で、ギデオンは次の要求はした。

　「あなたたちにお願いしたいことがある。各自戦利品として手に入れた耳輪を私に渡してほしい。」

　敵はミディアン人（※１）であったから、それぞれ金の耳輪を付けていた。

　人々は、「喜んで差し上げます」と答え、衣を広げて、そこに各自の戦利品の耳輪を投げ入れた。最終的にギデオンのところに集まった金の耳輪の目方は、１７００シェケル（約１９．４kg）にもなった。

（次回に続く）

（※１　聖書中、士師記第８章第２４節には「イシュマエル人」と書かれているが、『新共同訳旧約聖書略解』（木田献一監修、日本キリスト教団出版局、２００１年）p.295によれば、聖書中ではしばしばイシュマエル人＝ミディアン人として描かれる、とあるので同義と見なし、ここではミディアン人とした）。