トップページ　　目次

前の記事　　　次の記事

(2008-8-7)　エリコを探る　part 2

（前回からの続き）

　一方、二人の斥候は、ラハブの家で夕食を終え、くつろいでいるところだった。外が騒がしいのでラハブがそっと家の外を見ると、エリコの王の部隊が自分の家を取り巻きつつあった。

　ラハブが二人の斥候に話すと、彼らの緊張は一気に高まった。「まずい。どうやって逃げようか」

　焦る彼らを、ラハブはなだめた。「いいから、私の言うことを聞いて。」　そう言って彼女は、まずは家族に家の入り口に待機してもらって、外の部隊の応対に備えさせた。その上で彼らを建物の屋上に急いで、かつ静かに連れていくと、そこに積んであった亜麻の束の中に隠した。「とにかく、じっとしていてください。」彼女はそう言うと、急いで入り口に戻った。二人は息を潜めて、暗闇の中、亜麻の束の中でひたすらに待った。

　亜麻の中かくれる二人のうち、片方の男が言った。「彼女は信用できるのか？　もし彼女が俺らのことを告げ口したら、俺らは捕らえられて、殺されてしまうぞ。」

　かといって、家を包囲されている現状では、他に選択肢がなかった。二人は息を潜めて待った。

（次回に続く）

前の記事　　　次の記事

Copyright(C)2007-2008. Hidenori Tsuchikura. All rights reserved (Except some contents I write "this is other person's or organization's product.")