イスラムの歴史 (2008-5-23)

(2008-5-23)　反逆　part 1

　約束の地に入る試みが失敗に終わった後、モーセは民を連れて荒れ野を目指した。以下は、そのときの物語である。

　聖書中ではＪ文書版とＰ文書版の物語が複雑に組み合わされているので、個別に紹介したい。

（Ｊ文書版の物語）

　民が荒れ野に向けて移動中のこと。ある日、出発にあたり、モーセは人をやってダタンとアビラムという者を呼んだ。だが、彼らは動かなかった。彼らは言った。「我々は行かない。モーセは我々を約束の地（乳と蜜の流れる土地）から引き返させて、この荒れ野で死なせるだけでは不足なのか。我々の上に君臨したいのか。モーセは約束の地に我々を導くこともなく、畑もぶどう畑も与えてくれない。モーセは民の目をえぐり出すつもりなのか。我々は、行かない。」

　一方で神はモーセに告げていた。「ダタンとアビラムが私の意思に逆らおうとしている。私は彼らを滅ぼすことにする。」　モーセは何度か弁明を試みたが、神は聞き入れてはくれなかった。「私は彼らを地の底に飲み込む。他の者への見せしめとするがよい。」

　モーセはやむなく立ち上がり、長老たちと共にダタンとアビラムのところに向かった。ダタンとアビラムの天幕に着くと、モーセは言った。「この者たちの天幕から離れなさい。さもないと、あなたたちも巻き添えをくう。」

　ダタンとアビラムが、妻子を伴って天幕から出てきた。モーセは言った。

　「よいか、聞け。主が私を遣わせて、私はすべてのことをしてきたのであって、エジプトから皆を連れてきて今、こうしているのも私個人の意思ではない。もしもこの者たちが」　－　モーセはダタンとアビラムを指して続けた　－　「普通の死に方で死に、普通の運命に遭うならば、私は主の命を負う者ではない。だがもし大地が裂け、彼らを生きたまま飲み込むのであれば、この者たちは主をないがしろにしたことを知るであろう。」

　モーセが言い終わると同時に、大地が裂け、ダタンとアビラムの一家を飲み込んだ。彼らの叫び声を聞いて、周りにいた人々は恐怖に駆られて叫びながら逃げまどった。

（次回に続く）

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