イスラムの歴史 (2008-3-17)

(2008-3-17)　マナ

　逃避行が続いた。イスラエルの民はシナイ半島をさまよった。エジプトを出て１ヶ月経ち、エジプトから持ち出してきた食糧が尽きようとしていた。このころになると、民の一部はモーセとアロンに向かって不平を言うようになった。

「我々はエジプトの国で、主の手にかかって死んだ方がましだった。あのときは肉のたくさん入った鍋の前に座り、パンを腹いっぱい食べられたのに。あなたたちは我々をこの荒れ野に連れ出し、この全会衆を飢え死にさせようとしている。」

　モーセが神に祈ると、神は言った。「私はあなたたちのために、天からパンを降らせる。毎日必要な分だけを集めるがよい。私は彼らが私の指示どおりにするかどうかを試す。ただし、６日目に持ち帰ったものを整えれば、毎日の分の２倍の量になっているであろう。」

　その翌早朝、果たして種のようなものが空から降った。それはコエンドロ（注：セリ科の一年草）の種のようで、琥珀のようにも見えた。民は歩き回ってこの種を拾い集め、すりつぶして煮て菓子にした。民はこの食糧を、マナと呼んだ。

　モーセは彼らに、それぞれの日に必要な分だけを集めるように言ったが、何人かはその言いつけを守らずに余分に集めた。すると翌日、そのマナは虫が付いて臭くなっていた。モーセは民が神の指示に従わないことに怒った。

　６日目の朝、モーセは民に、普段の２倍のマナを集めるように指示した。「明日は安息日だ。今日は普段の２倍の量を集めて、残ったものは明日まで蓄えておきなさい。」

　民がそのとおりにすると、今回のマナは日を越しても虫も付かず、臭くもならなかった。

　翌日、モーセは言った。「今日は安息日だ。今日は野に行っても何もない。主に祈り、ゆっくり休みなさい。」

　ところが何人かの民が、その言いつけを守らずに野に出てマナを探した。しかし、モーセの言ったとおり、彼らは野でマナを見つけることはできなかった。帰ってきた民にモーセが怒って言った。「いったいあなたたちは、いつまで私の戒めと教えを拒むのか。主は安息日をあなたたちに与えたのだ。だからこそ、６日目には２日分のパンが与えられる。７日目には自分のところにとどまりなさい。」

　こうしてイスラエルの民は、約束の地に入るまでこのパンを毎日、食べ続けた。

（出エジプト記第１６章から。一部、民数記第１１章７～９節からも引用）

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