イスラムの歴史 (2007-10-24)

(2007-10-24)　ヨセフ　part 2

（前回からの続き）

　さて、ある日。ヤコブとレアの間に生まれた長男ルベンが、こともあろうにラケルの側女ビルハのところにこっそり入って、共に寝た。

　話を聞いたヨセフは（まだ幼かったこともあって）ショックを受けて、父親に告げ口した。

　ヤコブはかんかんに怒ってルベンを罰した。「父親の側女と寝る子どもがあるか、この阿呆！！」

　かつ、告げ口したヨセフには、褒美として裾の長い晴れ着を与えた。「いいか、お前はあんな過ちを犯すでないぞ。」

　まぁルベンも悪いとはいえ、この一件は、兄弟たちのヨセフに対する怒りを頂点に達しさせるのに充分だった。

　ある日、兄たちはヘブロンから羊を連れてシケムにでかけて、家畜に草を食べさせていた。ヤコブはヨセフに言った。「兄さんたちはシケムで羊をかっているはずだ。兄さんたちの様子を見てきて、私に知らせてほしい。」

　ヨセフは、しもべを伴ってシケムに出かけた。

　やがてシケムに着いたが、兄たちが見つからない。辺りの人に窺うと、兄たちらしき一団はもう少し北、ドタンにいるという。ヨセフはドタンに行くと、果たして兄たちを見つけた。

　「兄さーん」無邪気に叫んで近寄るヨセフを迎える兄たちの胸中は穏やかではなかった。

　兄たちの１人が言った。「おい。向こうから、例の夢見るお方がやって来る。いっそのこと、殺してしまわないか」

（次回へ続く）