イスラムの歴史 (2007-10-15)

(2007-10-15)　ユダとタマルの話　part 2

（前回からの続き）

　時が経った。やがて、ユダの妻も亡くなった。

　シェラも年頃の若者になったはずなのだが、一向にタマルのところには音沙汰が無かった。

　そのうちに、ユダは羊の毛を刈るために、ティムナに出かけることになった。羊を連れてユダはゆっくりと旅をしていったが、一方で、タマルにユダがティムナに出かけることを知らせる者があった。

　思うところがあったのであろう。タマルはやもめの服を脱ぎ、ベールをかぶって身なりを整え、ティムナへの道中、神殿の近くでユダを待ちかまえた。

　さて、一方のユダ。ティムナに向かう途中、ついにタマルが待ちかまえる神殿にさしかかった。ユダは彼女を見て、顔を隠しているので神殿娼婦だと思った。ユダは、（そうとは知らずに）タマルに近寄って言った。「あなたのところに入らせてくれ」

　顔を隠したままタマルは言った。「私のところにお入りになるのなら、何をくださいますか」

　ユダは答えた。「そうだな、私の家畜の中から、あとで子山羊を一匹届けよう。」

　タマルは言った。「でも、あなたがあとでそれを確かにくれるかわからないじゃないですか。私がそれを受け取るまでの間、保証の品を私にください。」

　「保証の品か。困ったな、何がいいだろう」

　するとタマルは言った。「あなたのひものついた印章と、今持っていらっしゃるその杖です。」

　ユダはそれも構わないと思い、それらの品をタマルに渡し、そうして彼らは共に寝た。

（次回へ続く）